身近な人が急逝した場合、悲観のあまり様々な手続きが疎かになってしまい、本来享受できる権利が無くなり、状況によって思わぬペナルティを課せられる事もある。
何よりも将来的な不安が大きくなり、生活するうえで支障をきたしかねなくなる場合もあるだろう。
特に年金収入のみで生活されている方で、生活そのものを支えていた方が亡くなってしまったら、残されたご遺族の不安は如何ばかりかと思われる。
受給資格は「故人により生計を維持されていたかどうか」
そこで、今回のコラムでは年金受給者の将来の不安を、僅かでも解消できる件について綴ってみたいと思う。
結論から綴ると、一定の要件を満たせば遺族年金の支給を受けることが可能となり、生活の維持がある程度できることとなる。
さて、遺族年金とは、年金受給者で家計の担い手だった者が亡くなった際に、残されたご遺族に支給される公的年金のことだ。
公的年金とは国民年金並びに厚生年金のことである。故人がどちらの年金の支給を受けていたかによって、遺族年金の受給資格が異なる場合、つまり支給を受けることができる遺族の範囲が変わるので特に注意が必要となる。
しかし、どちらの公的年金でも共通している重要事項がある。それは、故人により生計を維持されていたかどうか。詳述すると、故人が受給していた年金のみで生活していたかどうかである。ご遺族であっても、故人の年金で生活していなければ、遺族年金の受給資格はない。また、故人の家族構成や生前の収入によって支給される金額が異なるので、事前に市役所や年金事務所にて調査しておくことを勧める。
一生支給を保障するものではない遺族年金
年金受給資格が決定し、遺族年金の受給を受けることができるようになっても、安心してはいけない。
ご遺族が一生涯において支給を受けることを保証するものではないからである。即ち、状況によって資格が停止されることも有り得るからだ。資格停止の要件は様々で、個人差があるため、やはり市役所や年金事務所で事前に確認しておくことを勧める。
手続き自体は、年金受給資格のあるご遺族が直接市役所や年金事務所にて申請する。この場合の期限は亡くなった日(死亡診断書に記載された死亡日)から10日または14日以内だ。更に、年金の受給を受ける権利には時効があるので注意。亡くなった日の翌日から5年以内だ。時効が過ぎてから申請しても手遅れとなる。
最後になるが、遺族年金は通常の年金の受給と違い、所得税の課税対象とはならないのでこの面では安心して欲しい。