いきなりで恐縮だが、数年前に筆者の友人、上司が4人続けて倒れたことが有った。
原因は脳卒中が3人、心臓発作が1人だった。その内、心臓発作によって倒れた方が亡くなっている。残りの3人は幸いなことに発見が早く、かつ、処置も迅速に行われたため一命をとりとめた。
自己負担上限額は知られていても、還付されることをご存じない方が多い医療費高額制度
当時筆者は、他人事ではないなと思い、自らの不摂生を改めることにし、その結果今現在健康体で居られている。
心臓発作で亡くなった方は、当時私の上司だったのだが、ステージ4の糖尿病にも罹患していた。何かあったら、まず助からないな、という冗談にもならない話を当の本人と会話していたことを覚えている。
その際に、糖尿病以外にも心臓の疾患を抱えていること、更に療養費が相当高額になっていることも話していた。そして、その会話があった日から半年も経過しないうちに当の本人が亡くなったのである。
亡くなったあと、奥さんから高額療養費について相談を受けたのだが、一定の金額を超過した場合には、療養費の還付を受けることができることを知らなかったようだった。そこで今回は、葬儀と高額療養費の還付について綴ってみたい。
葬儀後の医療費還付が知られていない理由とは?
さて、筆者は葬儀社ではないものの税理士事務所勤務時代に、相続税の手続きの遂行とともに、様々な人の死を見てきた。
そのなかで、最も多い死因は病死であった。ついで事故死であるが、事故死は殆ど無いと言っても過言ではなく、やはり死因で一番多いのは病死である。
そして病死には、かなりの確率で共通していたのが、長期間入退院を繰り返していたことだ。その結果入院費や薬代が相当高額になっていた。
療養費の負担を軽減する手続きについて知っている方は多かったが、一定の金額を超過した場合、超過した分の還付を受けられる制度について、知っている方が意外と少ないことに驚いたものだ。積極的に知ろうとしないか、人の死というある意味忌避される事象が関係しているのだろう。
申請しないともらえない!時効は2年!所得税は非課税!
しかし、この制度もご遺族の方が地方自治体の窓口にて直接還付申請をしない限り、療養費の還付を受けることができない。
そして、当然時効がある。亡くなった日(病院等で発行される死亡診断書に記載された死亡の日)の翌日から2年以内だ。この期間を過ぎてしまうと、高額療養費の還付は受けられない。ただ、他の法的手続きとは違い、2年間の猶予がある。
落ち着いてからでも遅くはないし、地方自治体の相談窓口でも適切なアドバイスを貰えるはずなので、利用した方が良いだろう。最後になるが、高額療養費の還付金額は、所得税は非課税となる。