もしも「死後の世界」があるなら、あなたは自分が「天国」と「地獄」のどちらに行くと思うだろうか。
殺人や窃盗など、「明らかな犯罪」を犯せば間違いなく地獄に落ちてしまうだろう。しかし仏教においては、現代の我々から見ればかなり些細な罪でも「地獄行き」が決まってしまうとされているのだ。
今回はその中から、「ネットマナーの悪さ」が原因で落ちてしまうかもしれない地獄について調べてみた。
焦熱地獄とは?
仏教において、ここには殺人犯、窃盗犯などのほか、ある事ない事を言いふらした者(妄言を行った者)が落ちるとされている。
例えば、焦熱地獄(しょうねつじごく)の1つである「大焼処(だいしょうしょ)」では、殺生をすることによって神や天人の住む世界に転生できる、と主張する者が対象になる。
ネット空間では安易に「○○死ね」「あいつは死んだ方が良い」などという乱暴な悪口が書きこまれる事がしばしばある。
しかし、そう簡単に誰かの死をさも正しい事であるかのように主張するのは考えものだ。
もしこの大焼処に落ちた場合、罪人は灼熱の炎に身体の内部から炙られ、永遠に苦しめられることになるのである。
さらに、「龍旋処(りゅうせんじょ)」には自分の欲望や怒り、愚かさを断つことによって涅槃(仏の悟りの境地)に入れるという考えを否定した者、そして「礼儀作法」を心得ない者が落ちるとされている。
匿名だからといってネットマナーを無視し、他人の迷惑など考えずに傍若無人に振る舞うネットユーザーはとても多い。
だが、もしも死後に龍旋処に落ちれば、罪人は「身体から毒を噴出する龍」に自分の周りを回って責められる。
そして、その毒と回転の摩擦のせいで自分の肉体を粉々にされてしまうことになるのだ。
受苦無有数量処(大叫喚地獄)とは?
大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)の一つである「受苦無有数量処(じゅくむうすうりょうしょ)」には、嘘をでっち上げて「目上の者」を陥れたり、自分より優れた者を妬んで貶めようとした者が落ちるとされる。
ネットにおいては、職場の上司や先輩の名を匿名掲示板などに書き込んである事ない事をでっち上げて「晒し」をしたり、様々な分野で成功をおさめた有名人やアイドルなどの悪口を書き込み、みんなで寄ってたかって「叩く」などの好意は毎日のように発生する現象である。
だが、この受苦無有数量処の責め苦はかなり厳しい。
まず、罪人の身体の中には無数の「虫」が発生し、それらが動き回る痛み・痒みに加え、その毒が肉や内臓を蝕んでゆく。
虫嫌いの人にとってはここでもう背筋が寒くなってしまうところだが、しかしこれだけではない。
さらに罪人の身体は灼熱の炎で炙られ、最後はそうして焼け焦げた部分に「毒草」を植えられてしまうのだ。
もしもこんな目に遭ってしまうくらいなら、悪口は言う側ではなく、言われている側にいた方がはるかに良いだろう。
信じるか信じないかはあなた次第
地獄とは元々「仏法を重んじない者」をその対象とする面も大きいため、仏教における「地獄行き」の対象者を現代の我々に当てはめるのは難しい。
ネット上で多少マナー違反をしたり、誰かに迷惑をかけたくらいでは死後の行き先には何の影響もないのかもしれない。
だが、一度死んであの世の世界を確かめて帰ってきた人は誰もいないのである。
日々の生活をどう送っていくか、自分の身の振り方をどう考えるかはあなた次第だ。