突然ですが皆様、ご自分の戒名にいくらお布施を包めますか。
戒名とは、仏門に入り決まりを守っていくと約束した上で授けていただく名前のことで、現代では亡くなったあとにお寺の住職などから頂くものと考えられています。簡単に言うと、死後の世界に旅立っていくための新しい名前という解釈でしょうか。そう考えると、とてもありがたいものに思えますね。
戒名に批判的な人たち
しかし、この戒名に対して批判的な考えを持つ方々も少なくはありません。
理由としては、戒名にはランクがあり、お寺に包んだお布施(戒名料)によってそのランクが変わるということがあるでしょう。このことに関しては、仏教の内部からも疑問の声が上がっているそうです。また、最近では、よくインターネット上にこんな質問を見かけます。
「誰でも簡単に戒名を作成できるソフトがあり、お寺はそれを使って戒名を決めているというのは本当ですか。」
確かに、それが本当だったら戒名に対して否定的な考えを持ってしまうのもわかります。実のところは、どうなのか、気になりますよね。
実際に存在した戒名作成ソフト
確かに、インターネットで調べてみると、戒名を作成するためのソフトは有料のものも勿論、無料でダウンロードできるようなものもあるようです。具体的なホームページはここでは避けますが、あの質問に対する答えは、本当ということになりますね。
そこで、いくつかのソフトの使い方に目を通してみました。すると、私にはとても難しい内容で、仏教に関して全く知識のない素人が使いこなすには向いていないのではないかと思えました。しかも、ほとんどのソフトの使用上の注意点には、お寺によってはこのソフトを用いて個人で作成された戒名は認めてもらえない可能性がある、と書いてあります。これはどういうことなのでしょう。
しかし素人では使いこなすことが難しそう
実は、それらは素人でも簡単に戒名を作成できるソフトということではなく、お寺が戒名を決める上で参考にする辞書のようなものなのだそうです。
仮に、私のような素人が使ったとしても、ありがたい意味を持った戒名ではなく「戒名のような漢字の羅列」ができるだけとのことです。
近年では、仏教に関しての本を出版するとき、お坊さんを批判するような内容の本を出版すると本が売れるという傾向にあるようです。おそらく、そのような本の一部に「誰にでも簡単に戒名が作成できるソフト」の存在をにおわせる文章があったのでしょう。
確かに、お寺には神聖で、尚且つ少し不透明なイメージを持つ方々も多いでしょう。人々の「本当のことを知りたい。」「裏側を知りたい。」という心理が、そういった本の売れ行きに関係しているのかも知れません。
最期に…
今回お話しましたソフトは、お寺ではなく個人で使用する場合、仏教に関しての十分な知識と戒名について強いこだわりがある方が、どうしても生前に自分で戒名を決めたいときは意味を持つのではないかと思います。
勿論、後々のトラブルを避けるために、お寺との相談が必須になります。
しかし、「親族の戒名のためにお布施を渡すのはお金が惜しい。だからこのソフトを使いたい。」という考えは、私は少々悲しい気持ちになってしまいます。