「霊柩車を見たら、親指を隠せ。」有名な迷信ですよね。
私がまだ小さな子供のころ、はじめて霊柩車を見たときはそのインパクトに驚きました。下は黒い車で上は金色の豪華なお御輿。「豪華な車だなー。きっととても偉い人が乗っているに違いない。」と親から本当のことを教わるまで思い込んでいました。
霊柩車って最近見かけませんよね?
皆様も霊柩車と言えば、そんないでたちの車を想像するかと思います。
では、最近ではいつ霊柩車を見ましたか。そう言えば最近見ないな、と思われる方が多いのではないでしょうか。勿論、霊柩車自体が減っているという訳ではありません。では、一体何故なのでしょうか。実は全国の公営斎場からは、ある特定の霊柩車のみ、乗り入れ禁止令が出される自体が相次いでいます。
今回は、そんな最近の霊柩車事情とその背景にある時代の流れについて触れていきます。
霊柩車自体は減らずに、宮型霊柩車のみ減少
霊柩車にはいくつか種類があります。
先ほど私がお話しました豪華な霊柩車とは、宮型霊柩車と呼ばれます。宮型霊柩車は元々昭和に普及し、全国に1000両以上が走っていました。
しかし最近では、見た目が高級外車と変わらない洋型霊柩車が急激に増えています。去年のデータでは、宮型霊柩車は806両、洋型霊柩車は1514台となっています。
ということで、最近は目立つ宮型霊柩車が減少し目立たない洋型霊柩車が増加したため、霊柩車を最近見ていない気がするのですね。
県条例にまでなった宮型霊柩車の乗り入れ禁止
その理由のひとつとしては、宮型霊柩車は目立つので「宮型霊柩車=お葬式」というイメージが浸透し、不吉に思われてしまったということがあります。自治体によっては宮型霊柩車を規制しているところもあり、特に埼玉県では県条例で火葬場への入場が禁止されています。これは近隣住民への配慮ということのようです。
もうひとつの理由は、バブルが崩壊し、長く続くこの不況が関係していると考えられます。
家族葬が普及した背景とも重なりますが、不況によりお葬式にかけられる費用が大幅に減り、宮型霊柩車より比較的費用のかからないバン型の霊柩車が選ばれるようになったということがあります。不況の波は、お葬式にも押し寄せているのですね。
最後に…
宮型霊柩車のお御輿の部分はプロの職人さんが手掛けた、芸術であり日本の文化のひとつと言ってもいいのではないでしょうか。ただ不吉なイメージだからという理由で、それを失くしてしまうのは少し寂しい気がします。お葬式は誰にでも訪れるものであり、避けては通れないものです。そんなお葬式から目を背けてしまっているような気がします。
今回は最近の霊柩車事情をお話ししましたが、いかがでしたか。
誰にでも訪れる大切なものだからこそ目を逸らさずに、そんな日本の芸術や文化をみんなで守り、共存できるようになっいけたらいいですね。