トーク番組「お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺」(テレビ朝日系)を観るようになりしばらく経つが、しばらく前の放送が印象に残っている。
それは「仏様は温かいものが好き」というものだ。確かに仏教には供茶というものがある。点てた抹茶を仏様にお供えするのだ。これはホットの抹茶をお供えしているわけだから、確かに仏様は温かいものが好きだといえるだろう。
お茶は仏教から伝来?!
その話をきいて、学生時代に仏教とお茶について調べたことを思い出した(確かレポートを書くために必要だったのだ)。
西暦700年代の話になるそうだが、当時行われた冬の大法会では、法会の期間中、集まった僧侶たちに温かい抹茶がふるまわれたそうだ。中には抹茶に生姜やはちみつを加えて飲む僧侶もいたそうだ(「ぶっちゃけ寺」によれば仏様は温かいものの他に甘いものも好きらしい)。
仏様にお供えした後、供えていたものが僧侶に広まり、次いで公家、貴族に広まり、その後武士に広まり、やがて庶民に広まったのだ。我々の生活は仏様から影響を受けている、お茶一つとってもそうだな、と改めて思った。
温かいものと甘いものが好きな仏様
仏様は温かいもの、甘いものがお好き。
そう考えると、お汁粉やココアや抹茶ラテが完成された食品に思えてくる。そうとわかれば早速母方の祖母の墓前に供えてあげたい。
祖母は生前糖尿病を患っており、甘味は禁物だったので尚更供えてあげたい。祖母は今や病気から解放されたのだ。また、タバコも一緒に供えてあげたいと思う。祖母は喫煙者だったのだが、孫のためにと生前は大分我慢していたようだ。祖母の好みの銘柄は知らないが、思い切り好きなだけ吸ってほしいという意味を込めて供えようか。しかもカートンで。やりすぎかも知れないが、母方のお墓があるお寺は、ご住職が喫煙者だとわかっている。だからきっと許して下さるだろう。
冷たいものと辛いものが好きな神様
さて、母方の祖母にはタバコとお汁粉かココアまたは抹茶ラテを供えるとして、父方の祖母には何を供えようか。
この祖母も喫煙者だったのでタバコは供えようと思うが、困ったことに父方の祖母は、仏様も好きな甘いものがあまり好きではないのだ。
「ぶっちゃけ寺」によれば、仏様は温かいもの、甘いものが好きだが、神様は冷たいもの、辛いものが好きらしい。父方の祖母も(高血圧なだけあって)生前は塩辛いものの方が好きだった。ここは、父方の祖母は神様とご縁があると、かなり前向きな解釈をしよう。こちらの祖母には、冷えたビールと柿の種や焼き鳥缶がいいだろうか。とにかく祖母たちには好きなものを好きなだけ摂ってもらいたい。
墓前へのお花は、墓地の暗いイメージを払拭し、墓参者の気持ちを和らげるためのもの!
これもまた「ぶっちゃけ寺」から得た知識だが、墓前に供えられる花は、実は墓参する人のために供えるものらしい。
墓地はその雰囲気から、どちらかといえば気持ちが暗くなりがちなので、その人達の気持ちが沈まないように、少しでも気持ちが明るくなるようにする意味があるらしい。
番組を観た後で考えたのだが、もしかしたら他の供物も、ある意味墓参者のためのものではないだろうか。墓参者自身が、「故人は今、好きな物を食べて満足している、喜んでいる、そうであって欲しい。」と願っているのかもしれない。確かに私も、祖母たちが今は常に満足していて幸せな状態であると思うと安心できるし、気持ちが上向きになる。そう考えると、墓前に供えられるものは全て、実は故人・墓参者双方のために供えられるものなのかも知れない。
葬儀に関連すること全てが本人と、後に墓参者となる遺族のためのもの
そこからさらに考えると、生前葬や葬儀のシミュレーションも、ある意味墓参者のために行われているといえないだろうか。私は、葬儀のシミュレーションは、被葬者となる本人が生前に安心するために行うと思っていたが、安心したいと思っているのは家族も友人知人も同じではないだろうか。被葬者となる本人が納得・満足した顔を見て周囲も安心しているのではないだろうか。
葬儀のシミュレーションからお供え物まで、一つ一つが故人・墓参者双方にとり大切なものであると思えた。