お葬式は、その人の大切さ改めて思い、冥福を祈る、重要な儀式だと思っています。だから、ある程度はお金をかけてあげたい、というのが私の考えです。ただお金をかけて盛大なものにすればいいという話ではないけれど、それなりには出したい、出すべきだ、という思いなのです。
母が希望した身内だけの直葬
控えめに言っても裕福でない私たち家族は数ヶ月前、母を見送る方法を決めかねて、悩んでいました。
式は身内だけでやろう、ということは初めから決まっていたのですが、母が直葬を希望しており、私と夫はそのことで悩んでいました。
本人の希望を尊重すべきか、と考えながらも、母のためにきちんとした式を執り行えたらいい、とも思っていたのです。取り寄せたパンフレットの家族葬プランを眺めながら、私は一人、何度もため息をつきました。
お別れ会を行い、希望すればお坊さんも来てくれる直葬は、ただ単に火葬するだけではありませんでした
直葬自体は悪くありません。
それどころか、必要としている人もいるはずですし、一つのしっかりとした葬儀の方法です。でも、なんだか申し訳ないような気持ちになったのです。母の人生最後のイベントを、これで済ませていいのかと、そう思ったのです。私は、葬儀屋で働いている友人に相談しました。事情をすべて話して、やはりもう少し大きな式にすべきかと聞きました。しかし友人は、その必要はない、母の気持ちを尊重してあげればいい、と答えました。そして、いろいろと説明をしてくれました。それを聞くうちに、直葬もいいかもしれない、と思いました。
どうやら、ただ火葬をするだけでなく、希望すれば遺族たちも直接関わってお別れできるようでした。コンパクトにできて、むしろ送る私たちの思いがしっかりと伝わるのではないかと感じました。また、葬儀屋にお願いすれば、お寺さんを呼んで、お経を読んでもらうこともできるようです。4、5万ほどのお布施だというので、納得しました。
母を直葬で見送った私は、自分も直葬がいいと感じました
やがて時は流れ、ついに訪れた葬儀当日。母が大切にしていたフランス人形を一緒に棺に入れたり、息子と一緒にリコリスの花で彩ったり、できる限りで母への感謝の気持ちを込めつつ、無事に見送ることができました。それは、お葬式だとはとても思えない、充実した時間でした。
私も見送られるときは直葬がいいと、息子伝えました。息子も快諾してくれました。お寺に墓を持っている場合は注意が必要にはなりますが、いい葬送方法だと思います。そして、私の死のためでなく、私の愛する家族が生きていくためにもなるといいと、勝手ながらに思うのです。