人には人相、家には家相、手には手相と、開運の道を開くされている方法は様々にある。それは、お墓にもある。お墓の場合は「吉相墓」という。ただし墓相・吉相墓には科学的根拠がなく、近年は詐欺などのトラブルが頻発している。墓相・吉相墓に関する書籍には、事例の紹介はあるものの、具体性、論理性に欠ける内容が多い。大切なことは、立派なお墓や形式ではないことは間違いないが、今回はその「墓相・吉相墓」について紹介する。
お墓で一族繁栄
吉相墓とは、それを建てることで家庭や一族の繁栄を約束され、代々に渡って幸福が保たれると考えられている。古くは中国の殷時代、「風水思想」という、墓地の吉凶を鑑定する学問から始まっている。聖徳太子はその造形に深かったという。一族繁栄は寿陵墓でも同じことがいわれているが、寿陵墓の場合、あくまで「故人となる前に本人が行うこと」が前提だ。また、場所や墓石のデザインなどは基本的に本人が自由に決められる。しかし、吉相墓の場合は、墓石や、お墓を建てる場所も吉相を前提に決める。そのため、建てるときには専門家の指示が必要だと言われているようだ。
吉相墓の建て方
では、実際に吉相墓を建てたいと思ったとき、場所や墓石のデザインはどうなるのか。まず、専門家への相談と、家系図の作成が始まる。吉相墓は子供が親の墓を建てることが基本としてある。代が変わるごとに石塔を建てていくのもその特徴だ。専門家との相談もあり、一般的なお墓と比較すると高額になる。しかし、著名人などは吉相墓を建てることも少なくないという。もっとも重要なのは、吉相墓を建てたいと考えているか、または関心があるならよいが、一般的なお墓でかまわないのならば、無理に建てる必要はないということだ。
吉相と凶相
まずは方角。東と南のあいだを向くようにお墓を建てること。東南向きの斜面、あるいは平地が最適である。これは朝日を一番に、正面から受けることで、家庭に幸運をもたらすとされるためだ。方角で避けるべきは、北東だ。急死、自殺、夫婦別居などを招く凶相とされている。また、北西向きは火難、病難、西南向きは後家、精神の病、女性が強くなりすぎる相が現れるとされる。そして、鬼門である北東、裏鬼門の南西は避けるべきだろう。
専門家をうたう詐欺師に注意
ここまで吉相墓について紹介してきたが、建てるならば専門家に相談することから始まる。しかし、何をもって専門家を名乗るのか、基準はかなりあいまいだ。墓相には相応の資格がない。つまり、誰でも名乗れてしまう。これを悪用する詐欺師も、残念ながら存在している。
最後に…
吉相墓を建てることは、なかなか骨の折れる作業だと感じるだろう。実際に考えていた方にとっては、気が重くなってしまうかもしれない。しかし、昔は、人は簡単に死んでしまうものだった。一族繁栄が当時の人にとっては成し得がたいものと考えれば、吉相墓を建てようとする気持ちは理解できるだろう。また、親や先祖への感謝を示したいと考えている人には、これも一つの方法と言えるのかもしれない。