社葬とは、社会的にどのような意味合いがあるのでしょうか。まず、故人を供養するための儀式ですが、企業経営上、「広報活動」の意味合いを持ちます。企業が社会に対し、存在意義を認知させるために行います。また、企業に勤める社員にとっては、経営理念を再確認、社内結束をより強固にする機会ともいえます。
社葬を行う際の遺族への伝え方
社葬を執り行う際、遺族へはどう伝えるとよいのでしょうか。第一に、遺族へは誠意をもって伝えします。あなたが、大切な人の死、喪失の痛みも癒えぬうちに、「社葬を行いたい」といわれたら、どうでしょうか。混乱したり、もしかしたら憤りを覚えるかもしれません。ですから、まずは遺族の方の気持ちを最優先にしましょう。あくまでそのサポートに徹することです。
「社葬を開きたい」と伝えるときに
「社葬を開きたい」と伝えるときにも、やはり遺族の気持ち、ひいては故人を尊重して伝えましょう。その企業において、故人が果たした業績、追悼場をもうける意味、親族などのみで密葬を行った場合なら、そのあとに起こりうること。それらをていねいに伝えていきましょう。決して焦ってはいけません。
どんな人が社葬の対象となるか
法人税基本通達9−7−19に定められている通り、社葬の対象となるのはおおよそ以下のとおりです。
・会長
・社長
・取締役
・監査役
・顧問
・相談役
・殉職者
・特別功労者
ほかには、たとえば、社長の妻が監査役をしていたとしましょう。創業当時から創業者とともに会社の隆盛に貢献したのであれば、社葬の対象になりえます。ただし、どの程度貢献したか、という点において、税務調査で問われることもあります。
そのため、監査役として携わった業務がどのようなものか、説明、立証しなければなりません。これができていなければ、税務調査で問題になる可能性があります。
社葬費用が税務上、損金として認められる範囲
・お通夜の費用
・死亡通知の新聞広告掲載費、取引先への通知費用
・葬儀場使用料(祭壇料含む)
・僧侶へのお布施
・会葬礼状費用
・通夜ぶるまいなど飲食費用(一般的な厄落とし程度の簡易飲食)
これらは社葬費用を損金として認められます。葬儀のあと、別の場所で行ったお斎(とき)の場合、内容の精査が必要なものもありますので注意が必要です。
社葬の香典の課税関係
香典返しに関しては以下のとおりです。
・法人が収受した場合、法人が負担すべき
・遺族が収受した場合、遺族が負担すべき
ただし法人が収受した場合、課税対象になります。また、収受した香典を会社の経理に入金したあと、遺族に渡すと、会社的には雑収入、遺族には退職金扱いとなり課税対象になります。この点には注意してください。こうしたことから、最近は社葬の際、香典を辞退するケースが多くあります。
もし、社葬で香典を収受する場合、受付での管理作業のみ担当し、葬儀後に遺族に渡すとよいでしょう。
三回忌など法事の費用
・僧侶へのお布施は遺族負担となります。
・参列者(社員、取引先含む)にかかるお斎の費用は5000円以上なら交際費になります。それ以下の場合、交際費には含まれません。
・参列者(社員、取引先含む)へのおみやげは会社の業務関連者に関する費用とされ、基本的には交際費に該当します。