最近では生花店などでもプリザーブドフラワーを取り扱う店が増えてきた。中には仏様へのお供えに使えるよう、落ち着いた色合いのアレンジもみられる。一見生花に見えるプリザーブドフラワーだが、お供えに使う花は生花じゃないといけないのでは?と疑問に思う人もいるだろう。
生花がよいとされるのは花が命の無常さや尊さを感じさせるから
そもそも生花をお供えとするのは、花が命の無常さや尊さを感じさせる存在だからだ。また花のように清い心を持ち続けて欲しいという仏様の願いともいわれている。そのため、仏様に供える花であっても、花はお参りする人の方向を向け飾るのが一般的なのだ。
仏壇にお参りをするたびに、美しく生き生きと咲く花を見ることで、お参りする人は優しい気持ちを感じ花のように清い心を持ち続けて欲しいという願いがある。
管理できず傷んだ花を続けるくらいなら生花である必要はない
だが生花は春から秋にかけては傷みが早くなる。朝水替えをしても夕方にはすでに水が傷み花にも影響が出てくることがあるほどだ。こまめに管理できる人ならいいが、管理が難しいと感じる人は多いだろう。さらに夏場はお供えにつかう花も価格が高く、綺麗な状態を保ち続けるには経済的負担も大きくなる。
傷みが早い時期は、無理に生花にこだわらず傷むことがない造花を活用してもよいだろう。シルクフラワーでも最近では生花に近い風合いを持つものが多くなった。さらに生花に特殊な加工を施したプリザーブドフラワーは生花と変わらない風合いを持つ。どちらも管理としては埃が付かないよう数日に一回ほこりを払う程度で済む。
月命日や法要の際は生花に、日常は造花にと使い分けるとよい
造花は管理が楽で傷むことも少なく、お供花の管理が難しいと感じる方だけではなく、高齢者の方にも扱いやすい。日常的に備える花としてはシルクフラワーやプリザーブドフラワーのアレンジを使うことはおすすめだ。ただし、ドライフラワーは避けた方がよい。
だが、やはり命の無常さや尊さを感じさせる存在として節目には生花を供えることも必要だろう。月命日や法事法要、節季にはその季節に合わせた生花を飾るとよい。もし庭に花が咲いているなら、その花をお供えしてもよいのだ。もし故人が好きな花が咲いているなら、それをお供えすることをすすめる。またお盆には御先祖様を導く盆提灯の代わりとなるほおずきを、お正月には若松や南天を飾り、季節の移り変わりや新年を迎えた喜びを仏様と一緒に味わうとよいだろう。