守り刀とは?
守り刀とは亡くなった方の遺体を自宅に安置する際にその胸元や枕元へ置いておく小刀、あるいは刃物のことをいいます。主に亡くなった方のための魔除けとして古くから行われてきました。
守り刀を胸元に置く場合は、基本的には刃先が遺体の顔へと向かないようにして、足の方へ向けて置きます。地域や宗派、家によっては枕元に置く場合もあります。
本来の意味合いとしてはむき身、つまり鞘などをつけずに刃がむき出しの状態で置きますが、布などに包んで置くことも多いです。納棺後は同じ向きで 棺の上へ置きます。なお、置いた守り刀は基本的には使い回されることが多いです。金属ですので、火葬の際に 遺体と一緒に棺の中へ入れることは出来ません。
守り刀の由来ですが、守り刀はもともと、亡くなった武士の胸元や枕元に 生前使っていた刀をお守り・魔除けとして置いていたことが由来となってできた習慣です。死者を守るということで、死後 故人が成仏するまでの護身のためとも言われています。
また別の由来としては、刃物を置くことで邪気を払う、ということがあるそうです。光物を置くことで、動物、とりわけ猫を近づけないようにするという目的があったといいます。これは猫に「遺体をまたぐと化け猫になる」という言い伝えがあったためです。
刃物を置くことによって死の穢れが生者に移ることや、死者の祟りを防ぐという目的があります。守り刀は 死者と生者 双方を守るための習慣なのです。
守り刀は、実は刀でなくてもよいという話があります。なぜなら銃刀法の制定によって、刀は私たちの日常生活にはあまり馴染みのないものになったからです。。
守り「刀」、というくらいですから 小さな短刀を用意しなければならないのだろう、と考える方も多いでしょうが、古くより守り刀としては 故人が日常で使用していた刃物が置かれていました。
もちろん刀も置かれますが、現在では鎌やカミソリ、はさみなども使われます。実際の刀の代わりに木刀を布で包んだものを置く地域もあるようです。また枕元に置く分には、担当ではなく かつて武士がやっていたように刃渡り1mほどの刀を用いることもできます。前述した銃刀法の関係から、現代では模造刀が用いられるケースが多いようです。
守り刀の豆知識:浄土真宗は守り刀を使わない?
浄土真宗においては、守り刀は置かないことが多いです。これは浄土真宗における「往生即成仏」、つまり亡くなってすぐに浄土に往生し、成仏するという考え方に由来します。
つまりは、仏になるまでの間の期間がないために 護身用の守り刀が必要ないと考えられている、ということです。
とはいえ、「守り刀を置いてはいけない」というルールでは全くないので、門徒やお寺によっては 守り刀を置いているケースも少なくありません。地域や家によってさまざまなローカルルールがありますから、自分の家ではどうするのか、事前にしっかりと調べておきましょう。