返礼品とは?
返礼品とは、通夜式や葬儀に参列してくれた人へ 感謝の意を込めて渡す品物、あるいは参列者が持参した供物や香典のお返しの品の総称です。
通常は手提げなどに品物を入れ、お礼状を添えて 式の終了後、参列者が会場を後にする際に喪家が手渡します。
この返礼品のマナーにも様々なものがあり、種類や相場、内容にも 宗派や地域によって微妙に異なることがあります。
【返礼品の種類】
1.通夜返礼品
『通夜返礼品』とは、通夜に参列した方に渡す品物のことです。
通夜の参列に対するお礼は、もともと『通夜振る舞い』といって 通夜の後の食事会を開く形で行われており、この通夜振る舞いに参加できない方に『通夜返礼品』、つまり 食事の代わりのお礼の品を渡していました。
しかし最近は、通夜振る舞いへの参加・不参加に関わらず、通夜に参列した全ての方に通夜返礼品を渡すケースが増えています。
2.会葬返礼品
会葬返礼品は葬儀に参列した方に、会葬礼状とともに渡すお礼の品のことです。これは香典の有無にかかわらず 全ての参列者に渡します。
3.香典返し
香典返しは、通夜・葬儀にあたって 香典を頂いた参列者に渡す返礼品です。
香典返しには「忌明け返し」と「即日返し」の二種類があります。「忌明け返し」はもともと香典返しの一般的な形で、四十九日の忌明け法要が終わった後に「無事法要が終わりました」という報告を兼ね、忌明け当日から一か月以内に 挨拶状を添えて渡したり、郵送したりします。
しかし最近では、忌明け返しの渡し損ねや、郵送する手間を省くために 葬儀の当日に香典の額に関わらず 一定の相場の品物を渡す「即日返し」が増えています。
即日返しを行い、かつ 忌明けにも改めてお礼の品を送る場合には、忌明け返しを 半返し(頂いた香典の額の半分の額の商品を渡す)、三分返し(三分の一の金額の商品を渡す)などにすることが多いです。
返礼品の相場やどんなもの用意すればいいのでしょうか。通夜返礼品と会葬返礼品に関しては、だいたい 500円から1000円程度のものを用意することが多いです。どちらも 参列者全員に同じものを渡すことになります。返礼品の品物としては、お茶、ハンカチ、タオルなど 実生活で使えるような無難なものを贈ります。これらに 式に来てくれたお礼を記した手紙と、厄落としのための清め塩を添えて参列者に渡します。
香典返しに関しては、先ほど述べた忌明け返しと即日返しのどちらかによって金額が変わってきます。
まず忌明け返しですが、香典が渡されてから返礼品を贈るまでの間に 香典の金額を確かめることができるので、香典返しは一般的には 頂いた香典の約3分の1から半額程度の金額の品物を準備します。
用意する品物としては金額ごとに決めるケースが多く、タオルやシーツ、ハンカチといった繊維製品や お茶やコーヒー、お菓子などの嗜好品が多いです。
また最近増えているのが、商品のカタログブックを贈って 受け取り手が商品を選ぶというもの。この手法だと喪家が品物に悩むこともなく、受け取り手も自分の好きなもの、欲しいものをもらうことができます。
即日返しの場合、香典の金額を喪家がその場で確かめるわけにもいかないので、金額に関わらず同一の品物を準備することとなります。相場は大体 2000円から3000円程度。
高額の香典を受け取っていた場合には、後から忌明け返しを改めて送るということもあります。
即日返しは式の終了後 その場で参列者に渡すので、持ち帰りやすい 比較的軽量なものが好まれます。ここでもやはり、お茶やタオルといった 実用品が選ばれることが多いです。
返礼品の豆知識:返礼品にも表書きをつける
返礼品を渡すと言っても、ただ品物だけ入れるわけにはいきません。基本的には香典などと同じように、返礼品を渡す際にも 熨斗紙と表書きが必要となるのです。
この表書き、宗派や地域によって少しずつ異なってきます。メジャーなものを少し見てみましょう。
【宗教によって異なる 表書きの文言】
・仏教:「志」、「粗供養」、「満中陰志」など
・神道:「今日志」、「偲草」など
・キリスト教:「召天記念」、「偲草」など
宗教に関わらず、一般的に多く使われているのは「志」の文字です。どうすればいいか分からない場合には これを選ぶのが無難です。
【地域によって異なる水引の色】
一般的に水引は 白と黒のものが用いられます。藍銀なども使用頻度が多いでしょう。西日本や関西の一部では黄白の水引が用いられることがあります。どれを使うか迷った場合には 親族に聞いてみたり、葬儀社に相談したりするのも良いでしょう。
冠婚葬祭に関わるマナーでは、宗教や地域によって細かな差があったり、ちょっとしたことで悩んだりすることもあるでしょう。何か不安なことがあれば、親戚や葬儀社に聞いて 適切な形を選びたいですね。