孤独死した人のほとんどが、望んでそうなったわけではない。まさか自分が、と思っている場合がほとんどだろう。しかし故人に対して大変失礼であるが、孤独死された方の親族にとっては孤独死「された」という表現が適切であるように思う。それほどに孤独死という最期はショックも大きく、その後の処理が大変だということだ。
準備をしていない人が亡くなるとどうなるか。亡くなった後の部屋はどうするのか。どんな葬儀が行われるのか。人は亡くなったら終わりではないのだ。離れて暮らす残された家族、親族について考えながら、どれだけ生きている間にその苦労を軽減させてあげられるか考察していきたい。
孤独死、発見から葬儀まで
孤独死の場合は、自宅で亡くなっているので病院や介護施設などで亡くなる場合とは対応が大きく異なる。まずは発見され、警察からの連絡が入る。
警察は孤独死を発見すると現場検証を行う。ここで行われる家宅捜索にて、親族を調べて連絡を取る。血縁関係順に連絡がくる。親子、兄弟、親戚の順だが、亡くなった本人が高齢の場合、親子兄弟も高齢で亡くなっているケースが多い。面識のない遠縁の親族相手に連絡がいく場合もあるということだ。
警察署にて説明を受け、ご遺体を引き取るというのが流れだが、孤独死をした遺族の三割が遺体受け取りを拒否しているという現実がある。孤独死はやはり、その生涯が孤独なのかもしれない。ご遺体引き取りと同時に預金通帳、印鑑、金品も警察によって保管されているので受け取ることになる。ちなみにご遺体の損傷が激しい場合は、ご遺体を納める袋のようなものが別途必要になる可能性が高く、これは遺族負担となる。
そして、ご遺体が遺族による本人確認が不可能なほど腐敗している場合、DNA鑑定が行われる。このとき、鑑定結果が出るまでには時間がかかるので、冷凍庫での遺体保管料が請求される場合がある。ご遺体を運搬するには専門の車が必要となる。霊柩車や寝台車などである。これは葬儀業者が請け負ってくれる。このときまだ葬儀会社を決めていない場合も、運搬だけ頼めるのでその旨を伝えて地元の葬儀業者に気軽に連絡するといい。ただしご遺体が腐敗している場合、自治体によって火葬された後、お骨の状態で渡されることも少なくない。
孤独死の葬儀
そのあとは式を執り行う葬儀会社を決め、ご遺体安置場所、葬儀の形式を相談する。ここは普通の葬儀と変わらない流れだろう。
孤独死専門の業者はないので一般の葬儀業者に連絡をする。内容も葬儀会社のプランから選ぶことができる。
しかし孤独死では家族葬、親族だけの密葬が多い。ほとんどかかわりのない親族であった場合は火葬のみの直葬が選ばれやすい。費用が掛かり、また本人と親交のある人が不明瞭な場合が多いからだ。
平均的な予算は、一般葬だと120万円、家族葬だと50万円、直葬(火葬のみ)だと30万と言われている。コンパクトな葬儀の方が当然割安となる。
金銭的に余裕がない場合は最初から家族葬や直葬のみに特化した葬儀業者もあるので、調べてみるといいだろう。
また亡くなった方が生活保護で家族親族がいない場合は葬祭扶助が自治体から支給される可能性がある。一度行政サービスで尋ねてみるといいかもしれない。
こういった流れを生きているうちに見ると、どれだけ寂しい最期かわかるだろう。家族、親族、友人たちに見送られることに憧れを抱くと思う。
そのためにも早めにエンディングノートを作ることの重要性を感じずにはいられない。