最近テレビの情報番組で、「部屋のインテリアに合わせたおしゃれな仏壇を購入する人が増加している」というニュースを見かけた。そもそも仏壇はご先祖様を敬いお祀りするものだ。ところがその番組では、そういった本来仏壇が元々持っている意味合いには一切触れずに、インテリアとしておしゃれかどうかにのみ着目した仏壇を取り扱っており、少し違和感を感じた。デザインが大事であることは十分理解できるが行き過ぎることも少し問題ではないだろうか。今回はそのあたりも含めて一風変わった仏壇を紹介したい。
最近の仏壇は、一見すると仏壇とはわかりづらいデザインが多い
最近流行っているおしゃれな仏壇とは、昔からある伝統的な塗り仏壇や唐木仏壇とは異なり、扉のあるものは扉を開けるまで仏壇と気づかないようなデザインが多い。
大きさは、コンパクトな写真立てサイズの仏壇から縦長のクローゼットのような仏壇まで大小様々である。
また、扉を開ける必要のない壁掛けタイプの仏壇も存在することに筆者は驚いた。材質も、洋風の家具のようなウッド調であったり、ガラスを用いたクリスタル調であったり多様化している。費用は低価格なものでは、数万円から販売されている。
コンパクトでスタイリッシュな仏壇が増えている理由
近年は、大きな仏壇を設置するスペースのない家庭が増えているため、コンパクトな仏壇が好まれている。和室のない家庭でも、フローリングの居間や洋間にも違和感なく置くことが出来るデザインが人気である。
核家族化が進むにつれて、檀家制度が弱まり、宗教や宗派を持たない家庭が増えてきている。そのような家庭では、遺影や花を飾って偲ぶ方法が一般的であるが、おしゃれな仏壇はそのような家庭にもぴったりの宗教色を感じさせない仏壇である。部屋のインテリアを壊すことなく仏壇を置くことができる。
昔ながらの黒い仏壇でないと不謹慎ではないのか?
では、昔からの趣のある仏壇でないと不謹慎ではないのか?伝統的な黒い仏壇の方が、何となく気持ちの面でも重みがあって良いのではないかと感じてしまった。
調べたところによると、少なくとも墓埋法(墓地や埋葬に関する法律)では、焼骨(火葬した遺骨)の埋蔵(地下に埋める事)については規定しているが、遺骨の保存方法や仏壇の詳細については触れていない。つまり、仏壇のスタイルは法的には自由である。個人の自由なのだ。
供養のあり方の変化
生活スタイルが変わるにつれ、供養のあり方も従来のしきたりにこだわらない自由な風潮に変化してきている。モダンなおしゃれな仏壇に、故人の好きだったものを飾っても良い。もちろん御本尊、仏具、遺影、手元供養品等を置き、宗派に合わせた飾り方をしても良い。終活を生前に始める人が多い昨今、自分の仏壇に費用をかけてほしくないという方や、敢えておしゃれな仏壇で供養してほしいという方もいるだろう。何よりも、亡くなった方を身近に感じ、大切な人に手を合わせたいという気持ちをまず大事にしたいものである。