葬儀を執り行うのは、それ自体も慌ただしいが、終わった後もいろいろと苦労が多い。
その一つが「香典返し」。
筆者も夫の葬儀の後、この香典返しには大変な思いをした。その経験から、よりスムーズな手順について、送る側と受け取る側の両面から考えてみよう。
当日にお返しできたら、それが一番楽!
まず、先に結論から言えばズバリ、葬儀の際に当日返しを用意するのが、一番楽である。
香典は半返しが基本であるから、当日返しの品が2000~3000円程度であれば、いただいた香典が5000円を超える方にのみ、後日香典返しを用意すればよい。
筆者の場合、とにかくただ茫然と葬儀屋のアドバイスに全て従って用意した。「当日返しはなくてもいいですよ。大変だから。」と言われその通りにしたのだが、結果として、弔問にみえた人数が予想をはるかに超えたため、正しい選択だったと言える。
芳名帳だけでは故人との関係性や年齢がわからないため、何を送るべきかの判断が難しい
ただ、その後が大変だった。
最も困った点は、弔問にみえる方々は、自分ではなく故人の知り合いがほとんどだということ。全ての方と直接お会いするわけではない。あとから芳名帳を確認しても、たとえば「学校」「仕事」だけでは、同級生?先輩?恩師?大学の?小学校の?同僚?取引先?…と、その間柄が判りかねることも多い。目上の方なのか、親しい友人かによっても、こちらの心構えが違ってくるものだ。
芳名帳には、たとえ親しい間柄であっても、その関係について一言記載があると、遺族にとってはとてもありがたい。
いただいた香典の額、相手の年齢や関係などから、ふさわしい品物を選ぶのも、なかなか難しい作業だ。割り切って一律に洗剤などに決めてしまえば楽なのだが、なかには10万円も包んでくださった方もおられ、さすがに洗剤ギフトではちょっと…となる。
品物が決まると、配送先名簿を用意するのだが、これまた一苦労。香典帳を業者に丸投げするわけにはいかない。
名前や住所が間違ってはいけないので、芳名帳と香典返しの二重チェックも大変!
お一人づつ抜き書きをしていくが、受付の写しが違っている場合も、当然ある。そうすると、芳名帳や香典袋をひっくり返して確認作業が必要となる。
できることなら、芳名帳の住所欄はぜひ記入して欲しい。もちろん、お付き合いのある方なら調べればすぐにわかることではあるが、何百件と香典返しを用意する際に、一人ひとりアドレス帳を辿る作業は、本音を言えば、大変な苦労であった。
中には「お返しなんていらないよ、どうぞ気を使わないで」というご厚意での意思表示の方もおられたと思う。しかし、現実にはなかなかそうはいかないものだ。そのような気持ちがある場合は、ぜひ慰みの手紙などを用意しておき一言記して、受付に預けると良いだろう。