我々が最後に骨となって眠る場所といえば、お墓です。
日本の伝統的な考え方では、私たちは自分たちの親族から受け継がれるお墓に納められます。
3つに分類されるお墓
しかし現代は、こうした伝統的観念が変化しています。単純に言うならば、多くの人が故郷を離れ、都市部で生活する傾向が強くでています。これがもたらす影響については、墓地問題など当コラムでもご紹介してきました。
今回は視点を変えて、都市部へ出てきて何十年も経過し、いずれはこの地に骨を埋めることになろう、と考えている中高年の方を中心に、多様化するお墓選びについて、お墓のどこにこだわるかという観点から、お墓選びの具体的な指針をご紹介します。
お墓には大きく分けて3つの種類があります。
それは、寺院が管理する「寺院境内墓地」、地方自治体が管理する「公営墓地」、財団法人や宗教法人が管理する「民間墓地」のように区別されます。
これらの墓地は一長一短の特徴があるため、自分の希望だけでなく、自分の死後のことまで視野に入れて考える必要があります。
費用重視のあなたには公営墓地がオススメ!
まず、新しくお墓を建てるに際してだけでなく、その後の管理に際しても、とにかく費用を安く抑えたい方にお勧めするのが、「公営墓地」です。
東京都であれば、都立八王子霊園や都立多摩霊園などにあたります。費用の安さに関していえば、初期費用は墓石と土地代を込みにしても、民間や寺院の墓地と比べても100万ほど安い、250〜300万円で済みます。また、意外と見落としがちな年間管理費も、1万円で抑えられるところがほとんどです。
しかしこの低価格に惹かれ、多くの人が公営墓地を希望するため、土地を確保するだけでも抽選に当たる必要があります。また、多くの公営墓地は郊外の交通の便が悪い場所に設けられているため、お墓参りしてもらいにくいというデメリットもあります。
サービス重視のあなたには寺院境内墓地がオススメ!
次に、手厚く供養してもらいたい方や、自分の子供たちまでもお墓に困らないようにしたい方にお勧めするのが、「寺院境内墓地」です。
場所により宗派の制限がつきますが、お盆やお彼岸など、節目ごとに手厚い供養を期待することができます。
しかしその分、初期費用を含めて、お墓の管理費が最もかかる墓地ともいえます。法要ごとのお布施や接待など、単純に墓石や土地を管理するだけにとどまらない費用を考える必要があります。しかし公営墓地と異なり、様々な仏事を面倒な手配なく、一括して行えることにも魅力があります。
もっと自由度が高い墓地を希望するなら民間墓地がオススメ!
最後に、既存の宗教の枠に縛られたくない、もっと自分にあったフレキシブルなお墓のプランを探したいという方にお勧めなのが、「民間墓地」です。
この墓地の魅力はやはり、多岐にわたるサービスです。公営墓地や寺院墓地では「帯に短し、たすきに長し」な状態でも、自分か必要とするサービスだけをピックアップして選択することができます。また最近では、費用面でも、墓石の割引サービスや、永代供養費の無料化など、公営墓地に負けない魅力を打ち出しています。
しかし、そんな多様なサービスを提供できる民間墓地だからこそのデメリットもあります。それは、サービスが細分化しすぎて、高齢者に内容を理解しづらいという点です。したがって、不用意に割高なプランに誘導されないためにも、事前の下調べなどが欠かせないでしょう。
最後に…
以上、こだわり別に特徴的な3種類の墓地をご紹介しました。ここまで墓地を比較する観点として、費用・交通の便・供養・サービスの幅&理解しやすさの4つを挙げました。
この他にも、塩害がひどくないかなど、環境を考慮に入れることもあります。お墓を買うことは、車や家を買うことと同じくらい、人生における一大決心です。自分の納得のいく選択を行うためにも、様々な視点から考えてみることが重要です。