家族葬や自宅葬など最近の葬儀は徐々に小規模化しつつあります。この原因は世帯の核家族化や土地の問題にあります。
しかし、葬儀が小規模化しようと、具体的には参列数の減少や、戒名の簡略化、墓地の共同化が進もうとも、亡くなった方の供養の基本は変わりません。すなわちそれは「お経を読むこと」です。葬儀のハードな面にお金をかけない傾向にあっても、読経は唯一お金をかけないでできる供養ではないでしょうか。
故人に供養のパワーを送る読経
私の経験ではありますが、私の家では亡くなった方の四十九日法要まで毎週一度家族で集まって読経をするという習わしがありました。
当時小学3年生だった私は、毎週土曜日の夜に自宅の簡易仏壇の前で祖父のためにお経を上げていました。まだお経の意味も内容もわからなかった私ではありましたが、教本を開くたびに祖父のことを思い出していたのを鮮明に覚えています。
一般的に読経は宗派によって違いはありますが、二つの側面を持っています。一つは自分が極楽浄土へ行けるように唱えるものであり、もう一つは亡くなった方へ供養のパワーを送るものでもあります。後者について、私は母に「お経はおじいさんが天国への長い階段を上るためのエネルギーになるんだよ」と教えられた記憶があります。
自宅での読経 3つの注意ポイント
では実際に自宅でお経を上げる際にどのような点に注すれば良いのでしょうか。ポイントは以下の3つの点です。
一つ目はなるべくみんなでお経を読むことです。小さなお子さんにはまだお経の意味がわからないから、読んでも仕方がないと思われがちですが、この場合は家の中にいるみんなで揃って読経すること自体に意味があります。したがって経本も人数揃えるのがベストでしょう。
二つ目はその経本を床に置かないことです。経本に書かれているメッセージは仏教の世界では高貴なものとされているが故に、低い位置に置くことが疎まれています。
最後は高貴なメッセージを含むお経ですが、気になる点や読み間違い易いポイントにはどんどん書き込みをしていくことです。確かに経本を粗末に扱うことは許されませんが、自分の勉強のために教本を活用することは広く勧められています。読みながらその内容を理解しやすいようにどんどん書き込みをしていくことも良いでしょう。
供養と感謝の気持ちを忘れずにしたいですね
以上、我々にできる唯一と言えるような正式な供養として、読経をご紹介しました。
最近ではインターネットでも自分の宗派の経本を購入でき、更にはお経の内容を分かりやすい解説した書籍が、書店でコーナーを設けられて置かれています。葬儀においてお金を払ってその道の専門家に任せることが一般化する一方で、少なくともお経だけは故人への供養と感謝の気持ちを表して、我々があげるべきだということを忘れてはいけないでしょう。