11月18日は語呂合わせで「いい遺影の日」。かつては「わざわざスタジオに撮りに行く」「手持ちの写真から探す」ことが一般的だった遺影だが、最近はスマートフォンが普及し、誰でも気軽にいい写真が撮れるようになったこともあり、そのあり方も大きく変化しているようだ。この日、大手化粧品会社が主催して大阪市内で開催されたイベント「日本一明るいセルフ遺影撮影会」の様子から、「令和の遺影事情」について紹介する。
セルフポートレート感覚で気軽に
このイベントでメイクアップ講師を務めた女性によると、最近では遺影とはまだ無縁と思われる比較的若い女性より、遺影撮影に関する相談や依頼を受けるケースが増えているという。その理由としては、「以前は、遺影は正面・無表情、服はスーツや和装など、堅苦しいイメージだったが、最近は笑顔や少し斜めを向いた写真など多様化が進み、セルフポートレートを撮る感覚で撮影できること」「スマホでの自撮りが一般的になり、プロに頼まなくても遺影に使える写真が気軽に撮れるようになったこと」があげられる。
それに加えて、この講師は「近年は地震や台風などの災害が多いことも一因なのでは」と語る。つまり「自分もいつ災害で死ぬかわからないので、今のうちに『とっておきの一枚』を撮っておこう」という考え方が強くなっているとか。
自然な表情を引き出すポイントとは
スマホで簡単に遺影が撮影できるようになったとは言え、実際に満足いく一枚を撮影するのは、なかなか難しい。例えばメイク。メイクの色は意外と写真に反映されないので、日常のメイクだと「映えない」。「遺影などに使う写真の場合は、それ用のメイクを。口紅は『少し派手すぎるのでは』と思うぐらいの明るい色で」が基本。また眉が細いと年齢が高い印象を与えてしまう。濃い目にしっかり描くことで若々しさを演出できる。
撮影場所も重要だ、イベントで講師を務めたカメラマンによると「太陽光により顔に影が出てしまうのを避けるには晴れよりも曇りの日、屋外よりも屋内が望ましい」とか。正面よりも少し斜め上から撮影した方が小顔に見えるという。
また、自撮りの場合はどうしても「ドヤ顔」になってしまう。誰かと会話したり話しかけてもらいしながら撮影することで、自然な表情を引き出せるという。
お気に入りに保存しておこう
スマホの利点は「いつでも」「どこでも」「何度でも」撮影できる点だ。撮影した遺影が今一つだったり、ヘアスタイルが変わったりした場合など、いくらでも撮り直すことができる。イベント主催者は「毎月18日に遺影を撮影してみては」と提案する。また、子供や孫が毎年の誕生日に撮影してプレゼントする、というのも喜ばれるだろう。