戸籍抄本とは?
家族が亡くなったときに必要な書類として、戸籍謄本と戸籍抄本がありますが、これらはどう違うのでしょうか。
そもそも「戸籍」とは、夫婦、そして夫婦の子を単位とする家族(「戸」)で国民を登録するものです。戸籍には、家族全員のそれぞれについて親の氏名、生年月日、出生した場所、婚姻した相手、婚姻の年月日、死亡日、死亡地などが記載されます。これによってその家族のメンバーのそれぞれが誰と誰との間の子として生まれ、誰と結婚し、誰の親となったかが公的に証明されます。
戸籍はその人の本籍地の市区町村で保存・管理されていますが、戸籍謄本と戸籍抄本は、この戸籍の内容を市区町村が証明する書類です。「謄本」、「抄本」はどちらも原本の内容を写して作成した書類という意味ですので、これらは書類の性質としては同じなのです。
どこが違うかというと、「謄本」は戸籍に入っている全員の情報を写したものであるのに対して、「抄本」は戸籍に載っている人の中の誰か1人の情報を写した書類であるという点で違いがあります。
なお、現在では戸籍の情報はコンピューターで管理されており、コンピューターで管理されている戸籍謄本は「戸籍全部事項証明書」、また、戸籍抄本は「戸籍個人事項証明書」が正式な名称です。戸籍謄本は家族の全員分の証明として作成されるので「全部事項」証明書、戸籍抄本は家族の中の誰か1個人の証明として作成されるので「個人事項」証明書となります。
戸籍抄本の豆知識:葬儀の後に戸籍謄本ではなく戸籍抄本で足りる手続き
葬儀が終わった後に、戸籍謄本や戸籍抄本が必要となる場合がありますが、特に重要なのが相続に関する手続きです。
戸籍は、親子関係や婚姻関係を公的に証明する唯一の方法なので、亡くなった方の相続人が誰なのかを証明するためには、戸籍謄本が必要になります。このときには、相続人の全員を確認するのが目的ですので、必要なのは戸籍抄本ではなく戸籍謄本です。
また、戸籍抄本は戸籍謄本の情報の一部ということなので、戸籍謄本であれば戸籍抄本を兼ねることができます。
それでは、家族がなくなったときの必要書類として、家族の1人だけの情報が載っている戸籍抄本で足りる手続きにはどのようなものがあるでしょうか?
結論としては、相続に関する手続きには必ず戸籍謄本が必要となり、戸籍抄本で足りるのは生命保険金を請求する場合など、相続人が誰かを確定するのではなく、亡くなった方との家族関係だけを証明するための手続きに限られます。
相続の場合、相続人の全員を確定しないと、それぞれの相続人が相続する財産の割合が決められませんので、必ず戸籍の全員の情報が載っている戸籍謄本が必要になるというのがその理由です。
必要書類については、それぞれの手続きを管轄する役所へ問い合わせるのが確実ですが、戸籍謄本であれば戸籍抄本の内容を兼ねますので、迷ったときにはまずは戸籍謄本を取得しておけば無難と言えると思います。