逆縁とは?
仏教用語の一つで、仏教にそむくような悪い行いをしたことが、かえって仏門に入るきっかけとなることをいいます。また、年上の者が年下の者の供養をしたり、生前敵対していた人物の供養をしたりするという意味もあります。反対語を「順縁」といいます。
現代では「逆縁」というと代表的な意味はに親より子供の方が先に亡くなることとなります。儒教の教えでは、この逆縁がすべての中で最も悲しくて親不孝なことだとされています。そのため、逆縁の場合の葬儀には昔からいくつかのしきたりがありました。親は子供の葬儀の喪主をつとめない、また火葬場には親はついて行かないなどです。
しかし、近年高齢化が急速に進み、例えば90歳代の親が70歳代の子供を亡くすなどという逆縁のケースが増え、必ずしも以前からのしきたりにとらわれるのではなく、遺族の意思を尊重するという流れになっているようです。
逆縁の豆知識:亡くなった子供の墓はどうするの?
本来であれば本家の墓は長男が継ぎ、次男三男は自身で墓を建てる、これが日本の一般的な墓事情ですが、まだ墓もない、親も亡くなっていない子供が先になくなってしまった場合の墓はどうなるのでしょうか。
宗教や地域にもよりますが、「逆縁墓」といい、ご先祖様の墓と同じ敷地内に、別途墓を建立するそうです。そして後から亡くなる親は、元々あるご先祖様の墓に入るか、別に墓を建立する、そのどちらかになります。
「逆縁墓」にもいくつかの種類があり、仏教の家庭では15歳までの子供が亡くなった場合(昔の元服式の年齢)は、地蔵菩薩像を建立します。親より先に亡くなってしまった子供が、その親不孝を悔いているところを、菩薩が親代わりとなり救う、という考え方によるものです。また、母親の身体から産まれてくる前に亡くなった子供(流産や人工中絶)のためにも地蔵菩薩像が建立されますが、男女の性別がわかっていた場合のみ戒名をつけて祀り、わからないまま亡くなってしまった場合は祀りません。15歳以上で亡くなった子供は大人として扱われ、男性は普通の石塔、女性は観音菩薩像を建立します。
逆縁の場合の葬儀や墓のしきたりはいくつかあります。また順縁の場合より参列する人や葬儀に関わる人はそのマナーなどに戸惑うことが多いと思います。しかし一番大切なことは、しきたりにとらわれることよりも、故人や遺族の意向に寄り添ったものになることなのではないでしょうか。