寄与分とは?
1980年の民法改正の際に、相続財産が公平に分配されるようにと創設された制度です。
亡くなった人の財産を、残された何人かの遺族によって分けられるとき、その分配方法が公平であるかどうかということが問題となって、家族間で揉めてしまうことがたびたびあります。
民法では、相続財産を受け取ることのできるものとして相続人になれる人や、相続分として受け取ることのできる割合などについて、取り決めがなされています。これを法定相続人、法定相続分といいます。
亡くなった人が遺言書を用意していない場合、また相続人どうしで話し合いが行われることがなければ、この法定相続に従って遺産の分配が行われることになります。
ただし法定相続は残された家族の立場(配偶者や子など)によって遺産の配分が決められてますので、どの家族に対しても等しく単純で明快な分配方法と言えます。しかし亡くなった人との生前の関わり方などによっては、それでも不公平が生じる場合があります。
例えば、遺産となる財産を増やすことに貢献した人や、財産を残すために協力した人などは、同じ相続人であっても通常の割合での分配では、何もしなかった人とでは不公平感が生まれます。両者の間で差別化を図らないことには公平とは言えなくなりますよね。
このように遺産の増加などに貢献した相続人の公平性を考え、優遇措置として創設された制度が寄与分です。遺産の増加などに寄与した人が主張することで、通常の相続分に上乗せをして受け取ることが認められているのです。
ただしこれは遺産相続における財産分与の例外の制度となってますので、限定的です。つまり亡くなった人が事業を行っていた場合、その事業を手伝うなどして、事業の発展に貢献した人に対しては、他の相続人を比べて差別化を図るために寄与分が認められる可能性があります。また生前、生活費など金銭的な援助を行うことで、被相続人の財産の維持や増加に貢献している場合などがあります。
これらについては、あくまでも財産を維持させたり増やしたりしないと該当しないということに注意しておかなければなりません。
寄与分の豆知識:遺言書があるときの寄与分
原則として、遺言で寄与分を定めることはできません。例えば、寄与分として財産の半分を与える、とか不動産を与える、などと遺言書に遺したとしても、これについては認められません。また寄与分は一切与えないという内容の記載があったとしても、この遺言書は無効となります。
寄与分は相続人どうしで行われる分割協議や、家庭裁判所での調停で定められることになっています。