お彼岸とは?
迷いや煩悩がひしめくこの世に生きる者たちが、厳しい修行を経ると、ついには悟りの境地に到達することができます。その悟りの世界のことを「彼岸」といいます。
お彼岸の日にちは、春彼岸は春分を真ん中にして前後3日間、合計で7日間のことで、秋彼岸は秋分の日を真ん中にして前後三日間、合計で7日間のことです。それぞれの最初の日を「彼岸の入り」、最終日を「彼岸のあけ」、ちょうど真ん中の日である春分の日または秋分の日の「お中日」という風に呼びます。
しかしなぜこの日でなければならないのでしょうか。この春分、秋分の日というのは太陽が真東からのぼり真西に沈みます。そして昼夜の時間がほぼ同じであるということが、最大の理由であると考えられているのです。彼岸の対岸である、私たちが生きている迷いと煩悩で充満した世界のことを此岸(しがん)と言いますが、この期間に、彼岸と此岸は最も通じやすくなるといわれています。
極楽浄土に行くためには、この期間に仏さまの供養を行わなければならないとされていますので、この彼岸に最も近づいたこの日に、お墓参りを行い仏さまの供養を行うのです。
ところで春分の日や秋分の日は、昼と夜の長さがちょうど同じ時間になりますので、季節の変わり目としてはちょうどいいタイミングとされています。春分はこの日以降、昼の時間が長くなっていきます。昼が長く陽の照る時間が多い分、暖かい時間が増えてきます。秋分はそれとは反対に陽の照る時間が次第に短くなっていくため、徐々に寒い時間が増えていきます。
このことから、日々の辛い暑さや寒さに耐えるための目安として、人々の間で「暑さ寒さも彼岸まで」というようになったと考えられています。これはまた仏教の教えの、煩悩や迷いの中で暮らしている人々が辛い日々を過ごしていても、彼岸になればやわらぐことだろうということと重ね合わせて考えられるようになりました。
お彼岸の豆知識:彼岸花
彼岸花というのは、ちょうど秋のお彼岸の頃、田んぼのあぜ道などキレイに並んで真っ赤な花を咲かせているのをよく見かけます。これは、彼岸花は根っこに毒があり、田んぼを荒らすモグラなどから守るために、人の手によって植えられたものです。また以前、土葬が主流であったころの墓地にも、このモグラ予防のために、彼岸花を植えられることがありました。
このようなエピソードが、彼岸花の妖艶な姿と重なって、独特な怪談めいたイメージとマッチしてしまったのでしょう。
あの世に最も通じやすくなる頃に咲く彼岸花は、まさしくその名に相応しい花だと言えるかも知れません。
彼岸花にはこの他に、曼珠沙華や死人花、幽霊花、天蓋花などさまざまな呼び方がされています。