一般危急時遺言とは?
遺言というのは、その作成のためには、偽造などを防止するためにいくつかの決まりごとと行程が必要となります。ただ遺言を残そうとしている人が、遺言の準備がなされないままに、突然に命の危機が迫っているとき、やむを得ない場合に限り、認められている遺言の方法を「一般危急時遺言」といいます。また「一般臨終遺言」「死亡危急者遺言」と言われることもあります。
一般危急時遺言の方法は、3人以上の立会い人が必要です。そして遺言者はその内の一人に対して、口頭によって遺言の内容を伝えます。遺言者が言葉が話せない場合などには、この間に通訳をする人を介するようにします。
遺言の内容を聞き取った証人は、聞き取りのままの内容を間違いのないように筆記していきます。そしてその筆記したものについて、遺言者に読み聞かせて、相違のないことの確認をとります。その他の証人たちにも内容の相違がないことの確認を取り、承認してもらったあと、全ての証人からそれぞれ署名捺印をしてもらいます。
一般危急時遺言は通常の手続きに従って作成された遺言とは違いますので、このままではまだ有効とはなりません。これを有効にするためには、家庭裁判所へ申請をして審判してもらう必要があるのです。
具体的な手続きについては、立会い人として遺言書の作成に関わった証人の内の一人か、あるいは相続人によって、遺言書を作成した日より20日以内に家庭裁判所へ申請書を提出します。
裁判所はこの遺言書が本当に亡くなった人の意思によって作成されたものかどうかを確認し、正当性が認められたときにようやく有効となります。
もし一般危急時遺言を残したあとに、遺言者が回復した場合にはこの遺言書はどうなるのでしょうか。
遺言者が普通の方式によって遺言が残せるくらいに回復して、6ヶ月が経過すると一般危急時遺言は無効ということになります。
一般危急時遺言の豆知識:その他の危急時遺言
難船危急時遺言とは、船舶が遭難をするという緊急事態に備えて作られた遺言の方法です。この遺言書を有効にするためには、2人以上の証人に対して口頭で遺言の旨を伝えます。証人は聞いた内容を筆記して署名捺印をします。しかし、船舶が遭難している緊急事態においては、なかなか全てがこの通りには行えません。ですから遭難が終わったあとから、口頭で聞いた遺言を記憶に従って筆記し署名捺印をしたものについても構わないとしています。
そして家庭裁判所で確認して承認を受けることで、有効となります。