遺産分割調停・審判とは?
亡くなった人の財産を、受け取ることの権利のある人たちで、分けることを遺産分割といいます。そしてその分割する遺産のことを相続財産といい、財産を受け取ることの権利のある人たちのことを相続人といいます。
相続財産とひと言で言っても、さまざまなものがあります。一番分かりやすく分割しやすいものが、現金です。その他には預金や株券など流動的で換金のしやすいものがあります。相続財産の中でも最も分割しにくく、それがために争いの種として問題になりやすいものが、不動産です。
相続を行うには、相続人のひとりでも異を唱えることなく、全員が納得をした上で合意を得ることができなければ成立はしません。
遺産の分割の方法には、亡くなった人が遺書を残した場合、遺書が準備されていない場合には民法で決められた法定相続に従い、相続人が全員で協議を行った上でとどこおりなく分割を行います。
しかしこの遺産分割協議での話し合いが決裂してしまい、自分たちだけでは解決することができなくなってしまった場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申立書を提出して問題解決を委ねることができます。
家庭裁判所は遺産分割調停の申告書を受け取ると、まず調停員という担当によって、相続人のひとりひとりからその主張などを聞いてゆき、あくまでも客観的な立場でもって経験を生かしながら時にアドバイスを行うことで、スムーズに話し合いを進めることができるように問題解決の手助けを行っていきます。
しかしこの調停でも全員から合意を得ることができないなんていうこともしばしば起こります。そんなときには、今度は家庭裁判所に遺産分割審判申立書を提出して、審判をしてもらうことになります。
調停での際には調停員が間には入りますが、当事者どうしで話し合いは行われます。しかし審判になると審判員からの質問や調査などに応じることはあっても当事者での話し合いは断たれてしまいます。そしてその決定は家庭裁判所が公平であるとされた分割の方法によって下されることになり、その結果については強制力を持つことになります。ですからもしその決定に納得がいかなかったとしても、その決定には従わないといけなくなります。
遺産分割調停・審判の豆知識:審判に不服がある場合
遺産分割の審判は強制力がありますので、その決定には従わないといけませんが、どうしても納得がいかない場合には、審判が確定する前であれば、不服の申立てをすることができます。
遺産分割の審判の確定してしまうのは、告知をされた日の翌日から2週間です。この2週間以内であれば不服の申立てをして、その内容についてちゃんとした理由があれば、調停の手続きへと変更してもらうことも可能となります。
しかしその理由が今までの話し合いを繰り返すだけのものであるとか、理由に正当性が証明できないようなものであると、その抗告はただちに棄却されてしまいます。