遺産分割協議とは?
故人の葬儀を終えた後の相続に関連して行う手続きとして、遺産分割協議があります。
遺産分割協議とは、故人が残した財産(相続財産)をどのように分けるかを相続人全員で話し合って決めることをいいます。
故人が遺言書を残していれば、それにしたがって相続財産を分けることになりますが、遺言書がない場合、また、遺言があってもその内容と違った方法で相続財産を分ける必要があるような場合には、遺産分割協議を行って誰がどの相続財産を相続するかを決めます。
遺産分割協議を行うには、まず相続人を確定します。遺産分割協議は、相続人が全員参加しなければなりません。誰か1人でも参加していない遺産分割協議は無効になってしまうので注意が必要です。そのため、相続人が誰なのかを特定するための相続人調査はとても重要です。
相続人の特定は、故人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を全て取得して行いますが、子どもがたくさんいるなど、相続人が多く存在すると思われる方の場合は、取得しなければならない戸籍謄本が膨大になってしまい、相続人の特定が難航することもあります。
このような場合には弁護士や行政書士などの専門家に調査をお願いすることも一つの方法です。
次に、相続財産の調査をして、相続財産を確定します。なお、不動産や預金などの資産だけではなく、借金や損害賠償責任などの負債も相続財産になりますので、これらも確定して、分割する財産として誰が相続するかを協議しなければなりません。
相続人の全員で話し合い、全員が納得する相続財産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成します。
この遺産分割協議書は、不動産を相続する人への所有権移転の登記や、相続する預貯金、株式、自動車などの名義変更の手続きの必要書類にもなる重要なものです。
遺産分割協議の豆知識:遺産分割協議に期限はあるか?
遺産分割協議はいつまでに行わなければならないといった決まりはあるのでしょうか?
遺産分割協議には、特に期限はありません。亡くなった後何年たった後でも、遺産分割協議をすることはできます。また、亡くなった後何年もの間、遺産分割協議も行われず、相続財産がそのままになっているというケースもあるのです。
しかし、このように相続の手続きを放置すると、いろいろなデメリットがありますので、できるだけ早いうちに遺産分割協議や遺言の執行など相続の手続きを行うことが望ましいです。
一番大きなデメリットとして、相続税の負担があります。相続税は、亡くなってから10ヶ月以内に申告・納税するのが原則です。それまでに相続分が確定していない場合には、法律で定められている相続分(法定相続分)にしたがって相続したと仮定して納税する金額を計算しなければなりません。
また、相続税法では税額を軽減できる特例がいくつか用意されていますが、これらの特例を使うことができず、実際の納税額よりも多額の税金を一旦納めなければなりません。
多く収めた税金は遺産分割協議ができた後に計算し直して還付を受けることができますが、時間がたつと遺産分割協議を成立させることは日に日に難しくなっていきます。
遺産分割に期限はありませんが、葬儀が終わったらできるだけ早く手続きを進め、遺産分割協議書を作成するのがよいでしょう。