仏式葬儀とは？
日本ではごく馴染みのある葬儀であり、現在日本で行われる葬儀の約9割以上は、仏式葬儀と言われています。
ただし仏式と一口で言っても、宗派によっては根本的に考え方の違うものもあり、全て等しくまとめてしまうととても危険です。葬儀を行う方としても弔問する方としても、最低限気をつけておかなければならない事項であることは、最初に念頭に置いておかなければいけません。
死について仏教の教えとして最も一般的なものは、人は死ぬことによってあらゆるものに生まれ変わるという輪廻転生が繰り返され、そして生前にどのくらいの功徳を積むかということにより、その者の魂は浄化されていきます。そしていずれ悟りを開くことが出来たときに、その輪廻転生から脱し涅槃の境地に達することができるというものなのです。涅槃の境地に達するということは仏となること、つまり成仏できたということになるのです。
仏教で言う葬儀というのは、その考え方に基づいて行われているものであり、亡くなった人が成仏するために行う儀式であるということです。
最近は様々な葬儀の形式が登場し、忙しい現代人に負担の少ない葬儀が増えてきました。告別式やお通夜などを省いて火葬のみ行う直葬や、家族だけでこぢんまりお別れをする家族葬など、時間的にも金銭的にも利用しやすいものが、いまや都会では主流にとってかわる勢いとなってきました。
しかし仏式葬儀を行うためには、僧侶に来てもらって読経を読んでもらう必要があります。僧侶は菩提寺の住職にお願いをするのが一般的です。菩提寺など付き合いのある寺院が分からない場合は、その家に伝わる宗派の寺院にお願いするのが、問題も少なくてすむ方法です。あるいはその地域に伝わる葬儀のあり方にのっとって行うと良いでしょう。それらも不明の場合は葬儀社にお願いして最寄りの寺院にお願いするといいでしょう。
僧侶に読経を読んでもらい、喪主、遺族、親族、一般会葬者の順に焼香を行います。
葬儀によって、亡くなった人の功徳を積んで、浄土への暮らしを少しでもより良いものとなります。また遺された遺族の喪失感を、この儀式によって少しでも癒すことができるという考え方にもつながります。
仏式葬儀の豆知識：喪服が黒色理由
以前日本で主流だった喪服の色は、白い衣でした。白は清浄であることを現していたからです。現在では喪服で白いものはありませんが、ではいつから黒色が用いられるようになったのでしょうか。
鎌倉時代に入ってきた禅が影響しているのではないかという説があります。禅の僧侶が着ていた衣が黒色であったために、それが一般の生活にも次第に取り入れられ、広まったのではないかとのこと。
ただ、完全に黒色になるのはまだずっと先のことで、明治１１年（１８７８）大久保利通の葬儀の際、多くの人が黒の礼服で参列したとの記録があり、この頃から黒の喪服が一般的になっていったようです。
