遺影とは?
葬儀のときや、仏壇に飾られている、亡くなった方の生前の写真が遺影です。従来の遺影の記憶では、白黒でかしこまった無表情で写っている、まるで証明写真を引き伸ばし拡大した写真のようなイメージが強かったのですが、最近ではひと昔前に比べ、よりバラエティに富んだ写真も遺影として使用されるようになってきています。
以前ですと、ご家族が亡くなり、遺族の方が故人の遺影に使う写真をアルバムから探して程度の良いものを遺影にしていたというのが通例であり、イメージに近い写真を選ぶ傾向がどこのご家庭にもあったのでしょう。白黒やカラーは時代も関係しますが、大抵のご家庭で目にするご先祖様の遺影はほぼ硬い表情の写真が使われているのは、イメージとして「こういう写真」という概念が根強かったからなのでしょう。
そもそも遺影に使う写真に決まりがあるわけではなく、近年では自分自身の遺影を用意するという方もいます。遺影とは、自分亡き後も、自らの象徴として残されていくものです。
そのため、生前から遺影用にと、自分が納得するより良い写真を遺族に残しておきたいと、終活のひとつとして、これからは遺影も自分が選ぶことがステータスになっていくのでしょう。
遺影の豆知識:遺影写真をデータ加工
今の時代、良くも悪くも昔からの古い形式や思想などは薄れてきており、固定観念のない自由な選択ができる世の中へと変貌を遂げてきています。もはや「こうしなければならない」というものは何もない、と言っていいかもしれません。
そこまで大袈裟ではない問題ではあるにせよ、遺影も昔からは考えられないような自由な発想の写真も登場してきています。
背景を好きな世界へと変えるのは当たり前、美肌加工、ゴミ取りの処理、色彩の調整、切り取りや着せ替えの加工などなど、自分の理想とする写真を創り上げることが可能なのです。決まりがないという意味では、年代もいつでも良いわけです。これらはプロに依頼すれば引き受けてもらえますし、そういったサービスを行っている写真館もあるようです。
こういった最近密かに流行りつつある終活という、死と向き合う考え方が、このような、ひと昔、ふた昔では考えられない、自分の遺影を自分で用意するという、自らの死を前向きに捉えた活動を行う要因となっているのでしょう。
自分が死んだ後に残る写真も楽しんで撮る。一見、不謹慎なことだと考える人も中にはいるかもしれません。しかし、誰もが訪れる死というものを前向きに捉え活動するということが、後悔のない人生を完結させる何よりの秘訣であることは疑いようがありません。死を恐怖し過ぎるあまり、死を連想させることが「不謹慎」だと遠ざけていては満足いく人生の完結には辿り着けないのではないでしょうか。