玉串 玉串料 玉串奉奠とは?
玉串とは、神道の儀式で使われる枝に飾りをつけたものを指します。通常は榊の枝に、稲妻のような形に垂れ下がった紙垂(しで)や木綿(ゆう)、麻を結んだものです。また玉串の「玉」には魂の意味もあり、出雲大社では串を刺すことで神と人の魂を一つに結ぶものだとも言われています。
神式の葬儀でも玉串は使われます。玉串奉奠(ほうてん)や玉串奉納と呼ばれる儀式は、仏教における焼香のような意味合いがあります。
作法としては、まず自分の番が来たら遺族・神職に一礼します。次に渡された玉串を両手で受け取ります。その際は枝の方を右手で上から握り、左手は添えるだけ。枝元を少し持ち上げて一礼した後は祭壇に進んで玉串を捧げます。
祭壇に進んだら枝を握っていた右手を返し、そのまま90度、枝が下になるように移動させます。そこで左手をすっと枝に移動させ、手を放さずに右手と左手を入れ替えて玉串の向きを逆にします。枝が上になるよう祭壇の玉串案に供えて遺影を仰ぎ二礼し、音をたてない柏手を二回打って一礼。最後に神職と遺族に一礼して席に着きます。
また葬儀の際に渡す「玉串料」の相場を調べて驚くことがありますが、本来玉串料というのは祈祷や儀式を依頼する側が神主に納めるお金を指します。ですから玉串料30万~50万というのは喪主が神主に払う金額です。一般の参列者は仏教での香典と同じ金額でかまいませんが、封筒の表書きは「玉串料」とします。水引は白黒の結び切り、お札の顔を下にして入れることと新札は使わないのがマナーです。
玉串 玉串料 玉串奉奠の豆知識:杉も松も椿も榊?ややこしい!
玉串に榊の枝を使うのには理由があります。これは榊が一年中葉をつけている常緑樹であることから「栄える」という意味に結びついているからです。また榊の語源についてには先述のほか、神の世界と人間界を結ぶ「境の木」など諸説あるようです。
しかし気候や土地柄などの影響で榊のかわりに他の植物を使う地域があります。現代のように流通が発達していないなか榊が手に入りにくい地方では、そこに自生する常緑樹で代用していたことが多かったようです。北海道ではイチイ、沖縄ではガジュマルが使われたほか、椿や杉を使う地域もあったようです。
また日本神話ならびに古代日本では、榊は固有の植物を表す名詞ではありませんでした。古来は常緑樹全般を「サカキ」と呼んでいたようです。つまり椿や松、杉の木もすべてサカキと呼んでいました。近現代でも方言で「神事に使う植物=榊」として椿をサカキとよぶ地域もあります。
このようなややこしい感じでしたが、徐々に花をつける木、松脂を出す木などそれぞれの役割や特徴によって別の名前が与えられていきました。そこで最後まで名前をつけられず、ただひとつ神の世界に残った木が「榊」になったと、神話では言われています。