神棚封じとは?
家族が亡くなるなど、家族に不幸があった場合に、神棚に白い半紙を貼り、神棚を封印することです。神棚を封じ、「死」という穢れが、神聖な神棚に入り込まないようにするためだとされています。
穢れというのは、亡くなった家族を思うことで、遺族の気が枯れてしまう、という意味が語源となっており、決して汚れているという意味ではありません。故人を偲んで、気持ちが落込み、気力の減退していることを差します。
白い半紙は神棚の正面を隠すようにして貼り付けます。そして、忌明けが済むまでは、神棚の扉は閉じて、御神酒などのお供え物や、礼拝、祭事なども行わないようにします。
半紙を貼るさいには、しめ縄にセロハンテープなどで貼り付けます。決して画びょうなどは使わないようにしましょう。忌明けが済むと、白い半紙を取ることで、封印を解きます。
昔は、この白い半紙を貼る役は、家族以外の第三者が行うことになっていました。家族は死忌に染まっているからとの考えによるものでしたが、最近は色々な諸事情によって、遺族が行うことが多くなってきているようです。
神棚封じは、神道の考え方によるものですが、地域によっては、仏壇を閉ざすところもあります。仏教では、死が穢れたものとして取り扱うような考え方はありませんが、仏壇の扉を閉じて、供養する宗派などもあるようです。また中陰の期間の間は、中陰壇で供養することから、仏壇を閉じていることに対する問題はありません。
神棚封じの豆知識:神棚封じのいわれ
もともと神道では、死、出産などは穢れの対象として取り扱われてきました。その昔、死者が出た場合、喪屋が建てられ、出産の場合は、産屋が設けられました。そしてそれぞれにある一定期間まで隔離されたとのことです。
現在は火葬が主流となっていて、遺体の保存について悩むことはなくなりましたが、昔は土葬が一般的な埋葬方法でした。ドライアイスなどもなく、神道では遺体はやはり汚れたものとして昔は捉えられていたようです。人は亡くなると、塩で体を清められ、喪屋で骨になるまで風化されていくのを待ったそうです。
このような儀式を行っていたのは、もとは生活の知恵から始まり、広まっていったのだと考えられています。
そして最近は神葬祭の人気が上がっているようですが、その背景には仏式よりも儀式もわかりやすく、お布施などのお礼金が安くつくというところが特に魅力的なようです。