宇宙葬とは?
宇宙葬とは、故人の遺骨を宇宙に散骨することを指しています。この宇宙葬には2パターンあり、遺骨を粉末状の遺灰にして風船の中に入れて空へ放つバルーンを使った宇宙葬と、遺骨をカプセルに入れてロケットで打ち上げる宇宙葬となっています。
宇宙葬の豆知識:法的な問題の有無
宇宙葬をするうえで、宇宙葬にまつわる法的な問題はないのか疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。宇宙葬に関わる法律は「墓地、埋葬等に関する法律」の「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない」という法律や刑法190条の「遺骨遺棄罪」があり、これまでは墓地に埋葬することなく散骨することは違法であると言う考え方が一般的でした。
しかし、1990年代に入り、日本国内で自然葬(遺灰を山や海に撒く埋葬方法)のニーズが高まり、自然葬を行う葬儀会社も実際に登場し始めます。法務省はこれを「葬儀の一つとして節度を持って行われている限りは遺骨遺棄罪には当たらない」とし、認可しています。つまり、葬儀として節度を持ってルールに則って行われている分には、自然葬を行うことが法律違反であるとはされないのです。
では、自然葬の中でも特殊である宇宙葬についてはどうでしょうか。宇宙葬においては、バルーンに入れられた、あるいはロケットに乗せられた遺骨は大気圏に突入して流れ星のように燃え尽きるという仕組みになっています。このうちロケットで遺骨を飛ばす方法においては、「遺骨遺棄罪」が国外においては適応されないことと、節度を持って宇宙葬が行われること、二つの理由から日本の法律には違反しないと考えられています。
バルーンにヘリウムガスと遺灰を入れて空に放つ方法の宇宙葬においては、バルーンを飛ばすことに関し、その管轄となる環境省が「バルーンリリースを制限する意図はなく、法律で規制することは全く考えてはいない」というコメントを残しています。遺骨の管轄である法務省と厚生労働省においても、前述の「節度を持った方法であれば遺灰を海や山へまくことを禁ずるものはない」とのことで、法律に触れることなく葬儀をすることができます。
また、宇宙葬に使われるバルーンは100%が天然ゴムで作られており、日光や水により分解されるという環境に配慮されたものを使っているため、自然にやさしい葬送となっています。
宇宙葬は生前予約が可能であり、お墓に入りたくない、あるいはお墓が用意できないといった方や、自然や宇宙が好きな方に向いている葬送です。一風変わったこの宇宙葬という葬儀が、一般に広く知れ渡る未来も近いかもしれません。