71歳という年長の知人が「お寺に永代供養を頼んだ」と聞き、最近、その話で盛り上がりました。話し合ったのは40代の男女5名でしたが、永代供養に関して、各々いろいろと理解の違いがあったのです。まず、永代供養っていつまでなの?という点です。
永遠ではなかった永代供養墓
永代供養には、永遠・永久の「永」の字が使われていますから、〝とこしえに″という意味、英語でいえば“forever” のニュアンスなのかと思っていましたが、まずそこで違いました。
辞書で調べると「長い期間」の古語的表現なのだそうですね。長い期間供養するよ、というだけなのです。
では、長い期間とは果たしてどのくらいなのでしょうか?
法事をどこまでやるかというと、33回忌あるいは50回忌で最長だそうですね。33年間が〝永代″だとすると、長いようで短いかもしれません。今現在が2015年ですから、33年前というと1982年です。80年代はそう昔のことではないように感じる?……というように、永代の受け取り方はそれぞれです。永代供養を頼んだ場合の期間も、契約によりいろいろと違うのだそうです。
既にお墓がある方と無い方では永代供養の意味に違いがあります
さらに話し合っているうちに、すでに先祖代々のお墓があり、そこに入る檀家の方が「永代供養を寺に頼んだ」というニュアンスと、今現在入るお墓のない方が「永代供養墓を頼んだ」という発言では、意味が違うということにも気付きました。
前者は、お彼岸お盆など常にお付き合いのあるお寺に、末長い供養をお願いしたということ。お寺の檀家制度においては、昔ながらの供養のスタンスと基本的には一緒です。
後者の、永代供養墓を頼んだというのは、他の人と一緒の墓あるいは納骨室に安置される権利を生前にオーダーしておいたという意味です。合祀(ごうし)墓、合同納骨堂といえばより明確になるでしょうか。寺や霊園が責任をもって供養と管理をしてくれると謳った共同墓です。生前の宗派に関係なく、いろんな方が集まる墓ということでもあります。
スポーツクラブでの実体験
話は変わりますが、わたしは以前、某スポーツクラブに入会していました。熱心に通っていましたが、腰を痛めて2カ月ほど安静に過ごし、ようやく回復してから久々に行ったら、契約していたロッカーに別人の荷物が入っていました。クラブの会費とロッカー使用料は、毎月自動的に引き落とされていたのですが、一瞬足が遠のいた隙にロッカーの中身を勝手に空けられ、新しい人に二重契約をされていたのでした。わたしの荷物は、鍵の掛かった用具室から出てきました。その用具室は似たような荷物でいっぱいでした。ロッカーの数が少なく、順番待ちの方がいたとはいえ、勝手な二重契約とはひどい仕打ちだと怒った覚えがあります。
大変不謹慎なたとえではありますが、この資本主義、売り上げ第一主義の世の中、いろんな人がいます。お墓でも同様のことが起こらないとは限りません。
一人で決めずに信頼できる方にまずは相談してみましょう!
日本はここ半世紀で、家族の形が随分と変わってきています。
家族が変われば、墓が変わるのも当然といえるでしょう。
先祖代々の墓や配偶者一族の墓に入りたくない人、納骨自体を希望しない方、家族に墓参りの負担をさせたくない方などもおり、様々な選択肢が出てきています。
しかしながら、まだ新しいシステムも多く、これから何があるかはわかりません。永代供養墓の諸契約の際には、誰か信頼できる方を巻き込んで、納得のできる決断をしてほしいものですね。
永代供養墓というのは、墓の継承をしなくてもいいということです。生前にこれを頼まれる方は、周囲に配慮が深い方が多いのではないでしょうか。近しい家族がいない、あるいは、残される方々に負担を掛けたくないという自立心が強い方なのかもしれません。どういう形、どういう墓であっても、やはり後々を見てくれる方がいるというのはありがたいものです。血縁に限らず、誰か気に掛けてくれる方がいるようなお付き合いが日頃からできれば、さらに素敵かもしれませんね。