検死・検案とは?
検死・検案とは、変死や異常がある可能性がある死体を、医師の手によって調べることをいいます。解剖とは異なり、内部からではなく、外部、表面的な見地から異常の有無を検査し、その死因(自殺、他殺、事故死を含む)、死亡推定・経過時間などを明らかにしていきます。つまりは検死、検案共に死体に異常があるかないかを、医師の手によって調べることにあり、万が一、異常死(変死)の疑いがあると医師が判断した場合、警察に連絡、届出す義務があります。
異常死(変死)として医師から警察に届け出が出された場合、検察官による検視が行われます。つまり、司法解剖にふされることになります。検死・検案において、医師が異常死(変死)の疑いを持たれる死体について解剖するということはできません。
検死・検案から、検視となる流れにおいては、最も重要となるのが、犯罪性の有無となりますが、たとえ犯罪死の疑いがない場合にも、検視の必要性を要するケースもあります。自然死、或いは遺族も認める病死であったとしても、死因が不明といった場合や、かかりつけである医師による、立ち合いがない場合、感染症や、伝染病、中毒死などの疑いがある場合です。
その他、事故や災害、自殺の場合にも、医師、そして検察官による、検視・検案から検視が必要となるのです。このように、死亡の原因が特定できない遺体については、葬儀社による葬儀を執り行うことはできず、医師や検察の鑑定結果(法的な死の確定)を待つ必要があります。
検視・検案の豆知識:サスペンスやミステリ-でも描かれる検視・検案
「殺人事件」を題材にしたエンターテイメント作品において、よく描かれるのが、自然死に見せかけようとした、完全犯罪を目論む殺人を暴くといったストーリ-です。そのような話で鍵を握ってくるのが、主人公である、刑事や探偵と並んで、検死・検案となってくるのです。たとえ、名探偵が死に疑問を抱いたとしても、検死や検案の段階で医師が何の異常も見出せなければ、そこで物語はthe end となってしまいます。皮膚、爪から犯人に繋がる残留物が見つかったり、体の表面に付着した、犯人を特定する血液、体液が発見されたりと、その役割は重要なものです。死亡推定時間などを含めてもそうですが、これらの検査は、司法解剖の前の検死・検案の段階でないと発見・特定できないことなのです。
さて、これらはドラマや小説の中だけの話なのでしょうか。実はそうでもないのです。実際に自然死だと誰も疑わない状況から、検死・検案によって異常死の疑いが発見され、殺人事件として捜査が行われた結果、犯人逮捕に結びつくということもあるのです。そういった事例があるからこそ、検死・検案は必要とされ、行われてきたのでしょう。