結界とは?
結界とは本来、修行や修法のためにある一定の空間を区切り、魔障(仏道の修行などを妨げる 悪魔の障害のこと)を防ぐためのものであり仏教用語です。神道でもしめ縄を使ってこれを表します。葬儀などにおいて結果を作るときは、幕などを張って空間を区切ります。
ちなみに結界はもともと仏教用語です。それが後に密教と結びついて 本来のインド仏教には見られなかった「秩序を維持する神秘的な空間として区切られた界」という意味合いが与えられました。また日本において、神道でも同じく「浄と不浄を区切る」といった概念があることから、言葉として同じ「結界」が用いられています。
結界は寺院や神社にも用いられており、その境界線が意識されたつくりになっています。例えば 境内で結界を表すために意図的に段差を設けたり、扉や柵をつけたりします。神社においては、鳥居やしめ縄といったものも 結界を表す代表的なつくりです。
日々の生活においても結界が意識された伝統が残っています。お正月に玄関に施すしめ縄飾りなどが代表的です。結界とは、清浄な領域と不浄な領域の二つの世界を結びつける、視覚的な役割を持っていると言えるでしょう。
葬儀場では黒と白の縦縞の幕を張ることがあります。これは「鯨幕」といって、しめ縄などの代わりに 結界を張るという意味があります。古来日本の葬儀において用いられる色としては白が主流でしたが、西洋の文化の流入に従って弔事に黒が使われるようになりました。白と黒が両方使われている幕は その結果できたものです。今では慶事に白、弔事に黒を用いるのが主流となっており、白が生の世界、黒が死後の世界を意味するようになりました。葬儀に鯨幕が使われるのは、生と死が交わる葬儀の場において それらの一線を画す、という意味合いがあるのです。
結界の豆知識:どうして「鯨幕」っていうの?
葬儀会場で結界を張る、という意味合いを持つ黒と白の縦縞の幕。これは「鯨幕」と言います(蘇幕とも書きます)が、なぜこのような名前になったのでしょう。
これは実際に、クジラの体が黒と白であることに由来するそうです。クジラは背中などの広い部分は黒く、お腹は白色です。また黒い皮をはぐと、裏側には白い脂肪がついているそうです。そう言った特徴を連想させるため、黒白の幕には「鯨幕」の名前がついたと言われています。