供養とは?
供養とは、死者の霊前にお供え物をし、冥福を祈ることを言います。葬式や法要で、また仏壇やお墓の前で、故人を偲びお祈りをするする機会は日常生活において少なくありません。しかし『供養とは実のところなんなのか?』と問われると、少し悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。今回は供養の基本的な知識について紹介します。
供養とは、そもそもの語源はサンスクリット語で、仏や菩薩、諸天(仏教用語で、天界に住む者たちの総称。天部ともいう)などに お香や華、燈明(神仏に捧げる灯火)、飲食物などを供えることを表します。
日本においては、仏にとどまらず 死者や祖先を偲び、お祈りをするという行為を幅広く供養と呼んでいます。特に仏教に限定して使われている言葉でもありません。また、故人を祀る方法として「永代供養」などといった形でも使われます。
供養の一つの形式としては、遺骨をお堂やお墓に遺骨を納める「永代供養」というものがあります。永代供養にも、いくつか種類がありますが、屋内であれば ロッカー型の骨壺や仏壇下の霊廟に、屋外であれば家ごとのお墓や合同墓に遺骨を納めます。これらは遺骨が手元を離れ、長期的な管理も必要になる場合があります。またお参りに行く際にも、場所によっては行きづらかったり、人数が多すぎるなどの理由から親戚で集まりづらかったり といった問題が起こることがあります。
近年 新しい供養の形として人気が出ているのが、「手元供養」という形の供養です。手元供養とは、遺骨や遺灰を 永代供養のようにお墓や外部のお堂に納めるのではなく 自宅で管理するという方法のことです。「自宅供養」と呼ばれることもあります。また、遺骨や遺灰は全てを保管するのではなく、お墓や寺院へ納めたうちの一部だけを自宅へ持ち帰る、というパターンもあります。
手元供養のメリットとしては、遠い墓地へ納骨したときと違い 常に身近に故人を感じることができる、というものがあります。供養するときにも、お墓や寺院に出向くことがなくなるため距離や体調、時間などを気にする必要がなくなります。遠出がしづらいお年寄りにもお勧めできる供養方法です。
供養の豆知識:モノを供養する文化
供養をする対象は 人だけではありません。古来より日本人は様々な『モノ』に供養を行ってきました。代表的なものとしては、古くなったり 使わなくなったりした人形やぬいぐるみを寺院に依頼し供養してもらう『人形供養』、折れたり曲がったりして使えなくなった縫い針を供養する『針供養』、同じく使えなくなった刃物を供養する『刃物供養』 などがあります。
日本では昔から、特に長い年月を経て使われた道具には「つくも神」といって 神や精霊、霊魂などが宿る という信仰がなされてきました。モノに特別思い入れのある考え方が このような『モノ』に対しての供養を生み出したのでしょう。寺社や寺院によっては、このほかにも様々なモノに対して供養を請け負ってくれるところがあります。調べてみると新たな発見があるかもしれません。