忌引とは?
忌引とは、親族や家族の葬儀や喪に服すといった理由で、学校や会社などを休むことです。読みは「きびき」。忌引き、と送り仮名をつけて表記することもあります。
かつては親族などが亡くなった後、一定の期間を設けて外出を控える「忌服」(きふく)という文化がありました。死を穢れたものとして、外部に漏らさないようにしていたのです。同時に忌服は、親族を亡くした者が故人の霊に祈るための期間でもありました。
しかし社会の変化により忌服は次第にすたれていきました。その代わりとして故人を偲んだり、あるいは葬儀に関する雑務などの現実的な理由から、忌引の期間が設けられるようになりました。
忌引はマナーというよりも、学校や企業の福利厚生といった面があります。そのため忌引の間は有休扱いになる会社が多いようですが、就業規則によって左右されるので確認が必要です。
期間については、忌引を申請する本人の配偶者が亡くなった場合は10日間、両親が亡くなった場合は7日間、子は5日、祖父母や兄弟姉妹は3日、その他親族は1日となっています。ただし遠方の葬儀などで移動に日数がかかる場合、移動にかかった日数も忌引扱いになるかは会社や学校によって対応が異なります。また、「いつからを忌引とみなすのか」についても、申請先によって異なります。場合によっては葬儀社の領収書や案内など、葬儀を行ったことを証明する書類を会社から求められることもあるようです。
学校でも同様です。移動のために要する日数も「忌引扱い」になるか?などといった対応は、学校や場合によって異なることがあります。特に学校での忌引は、一般的な欠席とはみなさないものの、実際には出席日数から減算されます。特に高校・専門学校・大学などの義務教育ではない場合は出席日数が引かれるほか、状況によっては追試などもあるので注意が必要です。
いずれの場合も、誰が亡くなったか・葬儀にかかる日数を会社や学校に伝えた上で、忌引が適用される日数、有休や学生の場合は出席日数も確認するようにしましょう。
忌引きの豆知識:まさかの罰金?海外の忌引事情
海外にも「忌引き」という概念はあるようです。英語圏ではbereavement leaveもしくは condolence と表記されます。
親等によって期日が決められていること、移動日数を忌引期間に含めるかなどは会社や学校によって対応が異なる、このあたりは日本と一緒です。一方で台湾など、忌引が会社の就業規則などではなく法律で定められている国もあるようです。
海外に赴任している、もしくは海外で学校に通っている場合、注意したいのが「ずる休みとみなされてしまう」ことです。特にイギリスでは、旅行や私用などで親が学校を休ませたり、また本人が勝手に休んだと判断されると罰金を取られる制度があります。本来はずる休みを防ぐために2000年代からイギリス各地で始まった制度のようですが、子どもを休ませるために忌引を理由にする親が多いことから疑われることもあります。
イギリスの忌引は一般的に10日間ほどあるようですが、この期間を旅行に充てる親が多いことが問題視されています。忌引期間を本来の用途に使わないことが発覚すると、日本円にして7,000円から29,000円ほどの罰金を求められます。
実際に裁判になったケースもありますので、海外で忌引を申請する際は特に注意し、書類などで証拠を示せるようにしたほうが間違いがないでしょう。