枕経 枕勤めとは?
「枕経(まくらぎょう)」あるいは「枕勤め(まくらづとめ)」とは、遺体を安置するときに 死者の枕元で僧侶にあげてもらうお経のことです。
枕経・枕勤めは、臨終の後、遺体を安置して最初に行われます。以前の日本では自宅で亡くなる人が多く、死んでいく人の枕元に僧侶がつきその死を看取りながら経をあげるという形が取られていましたが、現在では病院で亡くなるケースが多いため 遺体を自宅に搬送した後に僧侶を呼び経をあげてもらうようになりました。
近年では自宅を経由せず斎場に直接搬入することも一般的であるため、通夜の際に枕経があげられたり、枕経そのものが省略されたりすることも珍しくはありません。また、宗派によっても行わないものがあります。
ここでは病院で亡くなった後に 自宅で枕経をあげてもらうまでの流れを見てみましょう。
1.遺体の受け入れ
まずは自宅に、病院から搬送される遺体を安置する場所を整えます。遺体を安置できるスペースに布団を敷いておきます。この際、枕飾りも置ける空間をつくるよう気をつけましょう。
準備ができたら遺体の受け入れを行います。病院から遺体を搬送してもらったら、あらかじめ準備しておいた布団に寝かせてから 枕飾りをします。葬儀社に一連の流れを依頼していた場合、この枕飾りも準備してもらえます。
2.寺院に連絡して枕経を依頼する
枕飾りができたら、寺院に臨終の連絡と枕経の依頼を行います。基本的には檀那寺か 近所の縁が深い寺院に連絡をします。
このときに故人の名前や死亡した時刻、享年、生年月日などの情報を伝えることになるのであらかじめ把握しておきましょう。読経の日時もここで決めます。
3.僧侶に枕経をあげてもらう
指定した日時に僧侶が自宅を訪れ、枕経があげてもらえます。枕経の際には親族も同席します。枕経の際には通夜や葬儀と異なり、喪服を着る必要はありません。普段着のままで良いでしょう。お経をあげてもらうので 自分の数珠は用意しておいた方が良いでしょう。
通夜や葬儀なども同じ寺院に依頼する場合には、読経が終わった後にその日程や手順、また故人の戒名などの相談を行います。
枕経 枕勤めの豆知識:僧侶へのお礼は?省略は問題ない?
僧侶をお呼びするのだから いくらか謝礼金を用意する必要があるのではないか、と思われるかもしれませんが、枕経単独の場合は お布施は必要ありません。同じ寺院で 枕経から通夜・葬儀まで行う場合には、それら全てのお布施をまとめて後日に渡すこととなります。
ただどちらの場合にも、一般的に「お車代」は用意することになります。だいたい5,000円~10,000円程度が相場です。お車代は当日 僧侶に直接お渡ししましょう。近年の葬儀の規模縮小により、枕経は現状において省略されることが多くなっています。その原因には、病院で亡くなっても自宅を経由せずに斎場へ直行することが多いことや 葬儀までの流れを簡素化して 手間と費用を抑えようとするケースが増えていることがあります。
枕経は臨終してすぐに行われ、喪服などを着る必要もないので 落ち着いて故人に向き合う時間にすることができます。また檀那寺に通夜・葬儀などを依頼する場合、その相談をすることができるため 通夜で僧侶に初めて対面するよりも余裕を持って各手順をこなすことができます。枕経を行うか、あるいは通夜と一緒にして省略してしまうか、自分や親族の状況に合わせて 一度相談してみると良いかもしれません。