喉仏とは?
宗派や地域によっては、多少の考え方や風習の違いはありますが、一般的には遺体を火葬したあと、骨あげの際に最後に拾うのが、喉仏です。喉仏は仏事では大切な部位として扱われていて、それはやはりその形からきているものだと考えられています。
どこも欠けずにきれいな状態で残っている場合、喉仏の形はまるで仏様が合唱しているように見えるのです。人の身体の中に存在する仏様だということで、喉仏は重要な意味を持つようになったと言われています。
そのために、火葬後の骨あげでは喉仏を拾う人は、故人と一番近い存在の人が拾うのが一般的です。そして頭蓋骨よりも後の、一番最後に拾いあげます。
拾いあげた喉仏は骨壺の一番上に納めますが、地域などによっては、他の遺骨と分けて納骨できるようにと、小さい骨壺と分けて納める場合もあります。それは分骨するためだったり、身近に保存しておきたいという遺族の思いからくる場合などによって、あえて分ける方法をとっているということのようです。
喉仏の豆知識:喉仏の正体
喉仏と聞くと、男性的なイメージが強いですよね。真っ先に思い浮かべるのは、少年が大人になるとき、声変わりと共に現れる喉の隆起物というところでしょうか。この声変わりというのは、男性にしか起らないと思われがちですが、実は女性にも多少は声変わりをしているらしいのです。ただ変化が男性よりも小さいために気づかれにくいのですが。
そして私たちが良く知っている喉仏というのは、喉の奥にある甲状軟骨の出っ張りのことを言います。男性の場合は、この甲状軟骨が成長期に大きくなって、いわゆる喉仏と呼ばれ喉を隆起させるのです。そしてこの喉の隆起が声変わりをより加速させるというわけです。
ところが骨あげの際に現れる、例の、仏様が合唱したような形の喉仏は、実はこの喉仏とは別物なんです。甲状軟骨は火葬で焼かれた際に、全て消失してしまいますので、何も残りません。では骨あげされている喉仏の正体とはいったいなんでしょうか?
実は背骨の一部なんです。第二頸椎と呼ばれていて、背骨の上から二番目の骨で、「軸椎」とも呼ばれています。
というわけで、私たちは誤解をしていたようですが、喉仏は男性の象徴的なあの甲状軟骨の隆起物なんかではなく、喉の骨の一部であったことがわかりました。そしてそれが不思議なことに仏様が合唱しているような形状をしていたというわけです。ただ、喉仏がきれいな形のまま残っていることは稀なようですよ。