土饅頭とは?
土饅頭とは、饅頭のように土を積み重ねて盛り上げたお墓のことです。世界中に存在しており、はじめは饅頭のような形を保っていますが、古くなると中に埋められている棺桶が腐り、土が落ちて形が崩れます。
土饅頭の豆知識:韓国にも土饅頭がある?
韓国においても、日本と同じく古くは土葬が主流でした。この土葬を行う際に作られたのが土饅頭というわけです。土饅頭による土葬を行われていたのには、韓国に根強く支えられている「儒教」の考え方が関係しています。この儒教の考え方では、「亡くなった人間の体は土へ還り、魂は空へ昇ってゆく」「故人の遺体を火葬することは、もう一度死を迎えること」という考え方があります。そのため、儒教を重んじる韓国では、火葬ではなく土葬にて故人を埋葬していたのです。ただし、それは富裕層の人々のみができた埋葬であり、お金がなくて土葬ができない人々は、仏教の葬儀、すなわち火葬で故人を埋葬していました。これは土葬の方法が、韓国特有の大掛かりなものであるためです。
韓国の土葬で主流なのが土饅頭型のお墓です。山の斜面を開き、そこに穴を掘って埋葬します。さらに土を饅頭型に盛り上げることでお墓が完成します。こうすることによって出来上がる土饅頭型のお墓ですが、このお墓の維持は非常に大変であることが知られています。山を一つ保有しなければならず、そこに先祖代々のお墓があるため、一族全員総出での手入れを行わなければならないほどです。お墓の周りには芝生が敷かれているため、その草刈りをしなければならず、そういった点でもお墓の維持管理が難しいのです。
また一番の問題が、土葬を行うための山が不足していると言うことです。韓国の国土は、全土で北海道よりも少しだけ広い程度です。それにもかかわらず昔からお墓を作るために山が買われてしまっているため、土饅頭を作るための山の取得が難しくなっているという現状があります。
そういった事情から韓国では2000年に墓地にまつわる法律が見直され、火葬による納骨の普及を国と自治体が推し進めることを義務付けました。これによって、韓国での火葬を行う比率が飛躍的に上がりました。ロッカーのような見た目の納骨堂に、火葬した遺骨を納めるのです。骨壺を納められる程度の大きさで、花を添えるための献花台は別の場所にあります。現代では土饅頭での埋葬に代わって火葬によるロッカー式の納骨堂への埋葬が普及しているのです。また、樹木葬という埋葬方法も、土饅頭に代わって行われるようになってきました。これは周辺の樹木を墓標としたり、新しく購入した樹木を墓標としたりする方法です。