檀家とは?
檀家とは、特定の寺院に所属する信徒のことです。読み方は「だんか」。元来は寺院や僧侶の援助者といった意味を持つ「壇越(だんおつ)の家」という言葉が省略化されたもので、「檀家」という略語も鎌倉時代から存在していると言われています。古くは士族や皇族など、権力者が寺院の庇護や金銭的な援助にあたっていましたが、仏教が庶民に広まるにつれ、次第に葬祭や供養を寺院がする代わりに、お布施を求める現代の形になっていきました。
現代の檀家は、葬儀や法要といった仏事や墓の保持などでしか、寺院との関わりがないケースが多いようです。いわゆる「葬式仏教」と呼ばれ、寺院と檀家のつながりが薄いことから、お布施などの寄付や収入が得られずに住職がアルバイトをしたり、廃寺に追い込まれる寺院も出ていることが問題視されています。また、葬儀や法要そのものも葬儀会社が行ったり、葬儀そのものを行わないなど檀家の意識が変わってきたこともあり、寺院と檀家の結びつきはますます薄れる傾向にあります。これは都心部よりも、人口流出や住民の高齢化が進む農村部などで顕著に見られる傾向だそうです。
こういった問題もあり、檀家を増やす努力もしている寺院もあります。現代ではホームページを作りインターネット上で檀家を募集したり、座禅会やお茶会を開くことで近隣住民を取り込もう、という動きが見られています。またとある寺院では、自院の墓地を整備し区画を空けることで、近所に墓を建てたいというニーズに答え檀家を増やしているケースもあるようです。
とはいえ檀家の立場からすると、所属先の寺院「檀那寺」を変えることは大きな負担でもあります。なぜなら檀家をやめる際には「離檀料」といって高額な料金を請求されることがあるからです。離檀料は数万円から100万円など寺院によってばらつきがあるようです。
檀家の豆知識:「駆け込み寺」の本来の意味、現代の動きとは?
檀家制度が本格的に広まったのは、江戸時代になってからだと言われています。1612年に江戸幕府がキリスト教禁止令を出した際、弾圧によって改宗させられた「転びキリシタン」が、仏教徒になったことを証明するための手形「寺請証文」を寺院に求めるようになりました。それが次第にお上を恐れる庶民に普及したそうです。そういった背景から権力を得た寺院と、また寺院に助けを求める庶民との結びつきが強くなり、檀家制度に発展したとも言われています。
また同じく江戸時代には「駆け込み寺」という制度もできました。現代では何でもいいから助けてくれと救いを求めるようなニュアンスがありますが、本来の駆け込み寺は、女性から離縁を求める際に寺院に入ることで今でいう「示談」の権利を得られるという、女性を守るための制度でした。しかしこの駆け込み寺、幕府によって指定された寺院でなければなりませんでした。しかも二か所しかなかったそうです。これでは遠方に住む女性は諦めるしかなかったでしょう。
しかし現代では男女平等、身分制度なども表向きにはありません。「個」で生きていられる分、孤立することも増えてきました。かつては檀家の結びつきがありましたが、今では葬儀だけのつながりであることと、檀家になると寺院の維持費などで年間1万円程度の会費のほか、法要などのお布施や、檀家をやめる際にも墓じまいの手数料や、離檀料など金銭的な負担も大きいのが事実です。
そういった問題をふまえ、多くの寺院では座禅会やお寺でのライブ、お祭りなどを主催し、もっと気軽に来てもらおうと活動しているようです。
困ったときに気軽に駆け込める近所のお寺、そんな場所が増えれば心も軽くなりそうですね。