葬式饅頭とは?
あまり聞かなくなった「葬式饅頭」ですが、地方ではまだ儀式として残っているところがあります。葬式饅頭とは弔事の際に配られる饅頭のことです。初七日に配られることが多いようで、関東では模様の入った春日饅頭(楕円形でこしあん)か青白饅頭(白と緑のセット)が一般的です。関西では黄色と白のセット「黄白饅頭」や「おぼろ饅頭」が多く、北海道から東北にかけては関東とも関西とも異なる「中華饅頭」が配られます。
この中華饅頭は、小麦粉の生地に餡を包んでつくられるもので、由来はカステラとされています。葬式饅頭を配る習わしは、故人の財産をまんじゅうという形にして、みんなにお裾分けする意味合いが込められています。生前の物欲を「お布施する」ことによって、成仏しやすくなると考えられています。饅頭以外に、羊羹など甘いもので代用することもあります。福島では赤くない赤飯(ふかし見舞い)をふるまう地域もあります。
各地で用意されるものは様々ですが、いずれも不浄払いが目的で、お清めの儀式とされています。
葬式饅頭の豆知識:葬式饅頭のレシピとは?
葬儀でいただいた「葬式まんじゅう」をどう食べるか。インターネットで有名なレシピサイトに、その食べ方が紹介されていました。電子レンジで温めることはもちろん、天ぷらにするなどおいしくいただく方法はいろいろあるようです。リメイクして、ケーキにすれば饅頭の面影はありません。
また作家の森鷗外は大の甘党で、葬式饅頭をお茶漬けにして食していたといいます。熱々のお茶をかけた饅頭は、しるこのような味わいで、好物だったようです。甘いものがとても貴重だった時代の葬式饅頭が、財産の一部とされたのも納得できます。
北海道では中華饅頭が配られています。この中華饅頭はどら焼きのようで、小豆や小麦の産地を有する北海道ならではのお菓子。こちらも残った中華饅頭をカットし、春巻きの皮とチーズやジャムなどをいっしょに巻き込んで揚げるといったアレンジレシピがあります。バターで焼きなおしたり、バニラアイスをつけて食べるなど、スイーツのアレンジが楽しめます。
甘いものにあふれている現代ですが、葬儀だけではなく婚礼の際にも用いられる「饅頭」は、老若男女に愛されている菓子です。各地で饅頭の色や形状、作り方は異なりますが、どれもおいしく食べることで葬儀であれば故人をしのび、婚礼であれば祝福の気持ちを表していることになるはずです。