遷霊祭・慰霊祭・御霊移しとは?
遷霊祭というのは、神道で行われる葬儀の中の儀式のひとつで、亡くなった人の魂を遺体から霊璽(れいじ)という、いわゆる仏教でいう位牌に移し替えるために行われるものです。これは御霊移し(みたまうつし)とも呼ばれています。
霊璽というのは白木でできており、その「みしるし」に亡くなった人の名前と享年などが書かれます。
遷霊祭の「遷霊の儀」は、葬儀の会場を暗くして厳かな状態の中執り行われます。棺の前に白木の霊璽を安置し、亡くなった人の霊をその中に移し替えるために、神主が祝詞を奏上します。亡くなった人の霊が無事、霊璽に移ることができたら、その霊璽を仮霊舎に納め、明かりをつけます。
一同が着席してから神主による献饌(けんせん)が行われたあと祝詞奏上が行われます。そして参列者が順番に玉串の奉納をし、拝礼をして終了となります。
その後、50日目に行う五十日祭りの忌明けが終わるまでは10日ごとにお祀りをします。その後、仮御霊から祖霊舎(祖先の霊をお祀りしてある舎)へ合祀するための合祀祭が行われます。
慰霊祭というのは、法事、追悼会、追悼供養、鎮魂などとも言われます。亡くなった人の霊を慰めるために行われる祭儀のことです。また大事故や事件、戦争などで命を落とした人々に向けて、その功績をたたえ、また残された家族や子孫などの団結力を深めるために行われることもあります。
このような出来事があったという事実を、時の経過によって風化させることのないよう、人々の心から決して忘れることのないように、後世に伝えていくためとして、節目節目に行われています。
大規模なものでは、死者のゆかりの地などで、灯篭流しや蠟燭に火を灯すなどの慰霊祭が行われています。
遷霊祭 慰霊祭 御霊移しの豆知識:動物の慰霊祭
毎年9月の下旬ころに行われる動物愛護週間。この時に各動物園では、動物たちの慰霊祭が行われることが多いそうです。動物園で亡くなった動物たちの霊を慰めるために行われており、ほとんどの動物園ではこの時期でなかったとしても一年に一回は慰霊祭を行っているようです。
このように日本では市民権を得ている動物たちの慰霊祭ですが、世界的に見れば珍しいことだそう。ただこの慰霊祭は記録に残っているだけでも昭和5年にはもう行われていました。また水族館などでも定期的に慰霊祭的なものが行われているところもあるようです。
この行為は、日本人が動物たちと共に暮らしてきた当たり前の生活ゆえの、自然ななりゆきなのでしょう。