線香とは?
仙香、繊香、綫香。葬儀や法会、仏壇やお墓などに、お供えとして火をつけて焚かれる、線状につくられたお香のことです。
原材料は、白檀(びゃくだん)、丁子(ちょうじ)、沈香(じんこう)、麝香(じゃこう)安息香など香料を粉にして、よく燃えるようにするため松やにを混ぜます。接着剤として蜜、糊、そして着色として黄土、緑、茶、黒の染料を加え、よく練り込みます。線香の幅に穴の開いた容器にそれらを流しいれ、ところてんのような要領で押し出します。それを適度な大きさにカットし、綺麗に並べて乾燥をさせます。
最近では杉の葉に香水を掛けてつくられたものも多くあり、それらは手頃な価格で手に入ります。
お香は、もともとはインドなどの香木のよく育つ環境のところから広まったと言われています。暑い国ゆえに体臭を消すために香りをまとうという文化が育っていったのだとも考えられます。その考え方はいつしか仏教の考え方と結びついて、お香によって心身の浄化をはかり、仏様にお会いするさいに穢れを落とし、身を清めるために焚かれるようになっていきました。
日本に線香が入ってきたのは、江戸時代の初期ころだろうと言われています。現在と同じように葬儀や供養などのさいに香炉に立てて焚かれていました。
亡くなった人の遺体の枕元に線香を一本だけ立てる風習は、亡くなった人の魂が線香の煙をたよりにするため、たくさんの線香を使用せずに一本だけ焚くようにします。遺体を火葬や埋葬をするまでの間、線香の火を絶やしてはいけませんので、遺族はそれまで付ききりで、亡くなった人の魂と寄り添います。
線香の豆知識:線香の煙を身体にかけるのはなぜ?
お寺などに行くと、大きな鉢の中でたくさんの線香が焚かれていることがあります。その周りに人々は群がって、われよわれよと線香の煙を、頭や身体、または身体の不調なところにかけている姿を、よく目にします。
人々は仏様のありがたいご利益を求めて、そのような行動をしています。確かにそれも決して間違いではありません。しかしもとはと言えば、仏教においては、身体にいい香りをまとわせるのは、身体を清めるという意味があります。それはまた、仏様に対していい香りのお供えをするという意味でもあるのです。
今度お寺に行ったときには、線香の煙をまとい、身体から穢れを落としいい香りをまとうことで、身を清めて、仏様に対してご供養をさせていただくという気持ちで、お参りしてみるのもいいかもしれませんね。