精進落しとは?
精進落しとは、現代においては、初七日の法要までの一連の法要を終えたところで、僧侶や世話役など、葬儀でお世話になった方々に対して、喪主がお礼のあいさつを述べるとともに、料理で労をねぎらう会食の席のことをいいます。
初七日の法要は、本来は死後7日目に行うものですが、親族に葬儀の1週間後にまた遠方から集まってもらう負担を考えて、現代では、ほとんどの場合火葬の当日に、火葬場から戻った後に行われています。
精進落しの由来をご存知でしょうか。かつては、家族が亡くなった後、忌中の間、遺族は通常の食事ではなく精進料理を食べていました。精進料理は、修行をしている僧侶が食べる贅沢な食材を用いない質素な食事ですが、故人の臨終後に殺生することを嫌い、肉や魚などの生ものを調理すること、食べることを避けるための料理としても伝わっています。
そして、四十九日の忌明けを迎えると、精進料理からそれまでの食事に戻り、再び肉や魚類及び飲酒などをすることを精進落しと呼んでいました。
現在では、精進料理を喪に服している間に食べる習慣はなくなりましたが、葬儀・法要後に、お葬式が無事に終了したことを感謝して、参列者へお礼やもてなしの意味で精進落しが振舞われるようになりました。
精進落しの豆知識:通夜振る舞いとの違い
精進落しと同じくお葬式の際に振舞われる料理として、通夜振る舞いがあります。通夜振る舞いは、通夜が終わった後に、参列者にお礼の意味をこめて設けられる会食の席です。
通夜振る舞いも、かつては肉や魚など、殺生しないと手に入れられない食材は使わず、地域の山菜や豆類など野菜だけを使ってつくられた精進料理を振舞うことが多かったようですが、現在では精進落しと同じく、メニューにはあまりこだわらなくなってきており、通夜振る舞いでも肉や魚が食材として使われている料理や、寿司などの贅沢な料理が振る舞われるようになっています。
この通夜振る舞いでは、参列者の人数が定まっていないことが通常のため、煮物や揚げ物、お寿司などが大皿で出されることが多いのですが、精進落しは遺族、近親者のほかに、世話役や故人と親しかった人などが出席し、一人ひとりにご膳で料理が用意されることが一般的です。
そのため、精進落しのときには、出席人数を正確に把握して、予め人数分の料理と席を準備しておくことが必要になります。当日になって料理が足りなくなってしまうといったトラブルが起きてはよくありませんので、多少余計に費用がかかっても、数人分は多めに料理を準備しておくのが望ましいでしょう。