神式葬儀とは?
神式にでは、仏教でいうお通夜のことを「通夜祭」といいます。そして、神式では、「通夜祭」~「葬場祭(仏教での葬儀、告別式)」~「火葬祭」~「埋葬祭」~「帰家祭」といった仏式でも行う行事を、独自の形式で行う流れを「神葬祭」というのです。
この「神葬祭」を行うことの意味とは、日本の宗教である神道での形に則って執り行う、仏教でいう葬儀や告別式(葬場祭)を含む祭典のことで、故人を一家の神(守護神)としてお迎えする儀式になります。
亡くなった方の、成仏や冥福をお祈りするという、極楽浄土への旅立ちと幸せを祈願する、仏教においての「供養」の意味あいとは異なり、神式の「神葬祭」での死者に対する解釈というのは、死して神となるという、ご先祖様崇拝の意が込められているものです。また「通夜祭」「葬場際」では玉串奉奠~たまぐしほうてん~という儀式があり、仏式にあたるお焼香のことで、この際には、一般でも神社の参拝のときに見られる、二礼二拍手一礼の儀が行われます。
無論、考え方が仏様の信者のものではないため「神葬祭」を執り行うのは仏に仕える僧侶ではなく、神に仕える神職・神官となります。ですが、神道において人の死を穢れ、とする考えがあるため埋葬される地は神社ではありません。
神式での現在の埋葬は「五十日祭(仏式の四十九日)」で、神道専門或いは、宗旨、宗派不問の霊園にて埋葬されます。
神式葬儀の豆知識:仏教より古い歴史を持つ神葬祭
「古事記」「日本書紀」に描かれている神々。日本各地には古より神々を祀る神社が存在します。山であり、川であり、大地であり、これら森羅万象という全ての自然は神々によって創造されたものであり、そこに宿る神を崇拝してきた宗教が神道・神式なのです。
日本に仏教の教えが伝来してきたのが欽明天皇13年(西暦552年)飛鳥時代のこととされます。それまでは仏式による葬儀が確立していたはずもなく、聖徳太子(厩戸皇子)やそれ以前の倭国人もきっと「神葬祭」を行い、故人を祀っていたのでしょう。
以後、明治維新をきっかけに神仏分離が決行されるまでは、神と仏とは一体として崇められていたのです。
それから現代においては、神式葬儀「神葬祭」を行うのはごく僅かとなってしまいました。しかし、神々を祀り、先祖を崇拝する心とは、宗教の形式だけに捉われたものではないのです。太古の時代から変わらぬように、人や全ての生き物は自然に生かされているのであり、宗教に関係なく、神や自然に感謝して生きていくことこそが大切なのではないでしょうか。