神衣とは?
神衣は、神式の葬儀での納棺の際に、故人に着せる白い死装束のことです。それに対して、仏式の葬儀で故人に着せる衣装のことは「仏衣」といいます。神式の葬儀とは、神社が関係するものなので、死装束の神衣は、神主が着ている衣装に似せてつくられています。男女に違いがあり、男性の場合は平安時代以降の公家の普段着である「狩衣」、女性の場合は貴族の女性の中でも特に位の高い者が着る「小袿」をかたどった白い衣装となります。そして男性には鳥帽子(えぼし)を被せて笏(しゃく)を持たせ、女性には扇を持たせます。柩には、白い覆いをかけます。これらの神衣一式は、葬儀社の方が用意してくれることがほとんどです。
神衣の豆知識:神式と仏式の違いは?
神道の葬儀を神式、仏教の葬儀を仏式と呼び、違いがわからないと言われることが多いですが、この2つは大きく違うものです。神式は神社、仏式は寺院が関わってきます。
まず、仏教では亡くなった者は来世に、仏弟子として生まれ変わるとされています。しかし、神道では亡くなった者は、火葬や埋葬された後もその魂は祖先の霊と一緒にその家に残り、遺族の守り神になる、とされています。
仏式で行われる通夜の役割を果たすのが、神式での「通夜祭」で、神式特有の儀式が「遷霊祭」と呼ばれるものです。「遷霊祭」が神式の葬儀での中心的な儀式となります。故人の霊を御霊代に遷し留める儀式です。
そして、仏式の葬儀ではお経が読まれるのに対して、神式の葬儀では「祝詞
というものが唱えられます。祝詞は、葬儀だけでなく、七五三などでも唱えられます。故人の冥福を祈るのが目的の仏式のお経に対して、祝詞はそれに子孫の繁栄を祈る意味も追加されます。
仏式の葬儀の方が一般的と思われていますが、実は最近では神式の葬儀の数が増えてきています。その理由としては、神式の葬儀の方が費用が安いことがあります。仏式はお寺に葬儀の費用として「お布施」を収めますが、神式では「玉串料」とい呼ばれるものを収めます。この費用の一般的な相場が、玉串料ではお布施の約半分となるのです。お布施の中には、故人の死後の名前である「戒名」をつける費用も含まれています。しかし神式の葬儀ではこの「戒名
はつけません。その分費用が安くなるのです。
最近人気の出てきた神式での葬儀ではありますが、まだそれに慣れていない葬儀社も多く、葬儀社選びが重要になります。事前に仏式か神式のどちらを希望しているのかをしっかりと伝えることをしなければなりません。