終油の秘跡とは?
キリスト教のカトリックで、まだ病人の意識があるうちに、神父によって行われる臨終での儀式のことをいいます。昔は臨終を迎える病人に向けて行われていましたが、現代では重病人に向けても行われるため、「病人塗油の秘跡」とよばれます。終油の秘跡に必要な道具は、小さい机、十字架、聖書、ろうそく2本、教会で祈りを捧げた「聖水」、聖油です。神父は、病人がまだ、言葉を話せる状態であれば、病人が犯してきた罪の話を聞き、病気が治ることと、罪が許されることを神に祈ります。そして、病人の目、鼻、耳、口、手、足に聖油を塗り、秘跡の言葉を唱えます。この聖油は、病人に神の恵みを与え、病気の苦しみと戦う力を与えると考えられています。
「秘跡」というのは、カトリック教会の用語で、イエス・キリストによって制定され、教会にゆだねられたものです。神の恵みを実際にもたらすしるしのことをいいます。その秘跡の一つに「終油の秘跡」があるのです。
終油の秘跡の豆知識:キリスト教の葬儀でのマナー
仏式や神式の葬儀が大半を占める日本の葬儀ですが、キリスト教の葬儀に参加することになったときのマナーについて触れておきましょう。
まず葬儀に出席するときの服装ですが、仏式のものと同じで問題ありません。注意点も同じで、基本的に黒の服で派手なアクセサリーや時計などは避けるべきです。
そして、キリスト教の葬儀のマナーとして抑えておきたい代表的なものが2つあります。一つ目は、聖歌、賛美歌に参加するということです。知らない歌を必ず歌いましょうというわけではありませんが、信者でなくても、歌の前に歌詞を書いたものが配られるで、なるべく歌に参加しましょう。
二つ目は、「お悔やみの言葉は言わない」ということです。キリスト教と仏教・神道とでは「死」に対する考え方が違います。キリスト教では、人が亡くなることは不幸なことではなく、「永遠の命の始まり」と捉えます。ですので、ご遺族に対してお悔やみの言葉は述べず、「安らかな眠りをお祈りいたします」などのあいさつを伝えましょう。
また、「終油の秘跡」の儀式が行われるのはカトリックですが、プロテスタントでは、それは行われません。カトリックとプロテスタントでは葬儀の流れや使用する言葉も違います。例えば、カトリックでは聖職者を「神父」と呼ぶのにたいしてプロテスタントでは「牧師」と呼びます。礼拝で歌う歌の呼び方も違います。しかし、カトリックとプロテスタントの違いを覚える、となると細かくなってしまうので、上記の2つの注意点をおさえておけば、問題なく葬儀に参加できるでしょう。