宗教者とは?
宗教者とは、広い意味では宗教の知識を持った専門の学者などのことをいいます。イスラムでは、法学者やコーランの学者のことを指しており、民間の人々の暮らしにおける行動規範から国家の政策に関することまで、この宗教者が正しい道へ導くための判断を行う役割を担っています。
日本での宗教者というのは、いわゆる僧侶のことをいいます。一般的によく知られている僧侶の役割というのは、葬儀や、法要などで読経を行ってもらうことです。現在では各家庭で古くからお付き合い続けている菩提寺などというのも、あまり聞かれなくなってきました。特に近所付き合いなども希薄な都会においては、葬儀も簡易に済ましてしまう人も増えてきており、僧侶に読経を行ってもらわないという形式も当たり前となってきました。そのために僧侶、いわゆる宗教者としての役割が消滅しつつあるのです。
かつて日本での僧侶の立場は、もっと一般家庭と近い存在でありました。菩提寺には先祖代々の霊をお祀りしてもらっており、その記録もきちんとされてありますので、自分たちの先祖の話しを誰よりも知っている人でした。
また僧侶はある一定の知識や教養を身につけていますので、倫理観や習字や算術などを教える子供たちの先生としての役割を果たすこともありました。大人たちにとっても、家庭内でのトラブルや悩み事など、些細なことでも気軽に相談できる人でもありました。
宗教や宗派はそれぞれの家庭によって違いはありますが、こんな風に地域に密着し寄り添うことでお寺は成り立っており、僧侶(宗教者)はみんなから親しまれる存在でありました。
僧侶(宗教者)の役割は、このようにただ葬儀や法要で読経を唱えていただくだけのために存在しているわけではないのです。先祖代々から継承していく家系を守るための手助けをしてくれるという重要な役割を担っているということも忘れてはいけません。
宗教者の豆知識:僧侶を呼ばない葬儀
日本で葬儀といえば、ほとんどが仏教形式となっています。家族が亡くなって悲しんでいる間に気がつくと葬儀が終了してしまっていたというのはよく聞く話しです。あとで、もっとこんな葬儀にしたかったと後悔しても遅いので、できれば前もって準備しておくのがいいでしょう。
人は亡くなると、考える間もなく葬儀の準備に入ります。ゆっくり葬儀社を選んでいる間もないので、よほど信心する宗教や宗派が違うということがなければ一般的な仏教の葬儀が選択されます。そして僧侶も当然のごとく来てもらって読経を行ってくれます。最近は葬儀の形も好みによってさまざまです。ですから仏教形式だとしても、絶対に僧侶を呼ぶ必要はありませんし、その形式にこだわる必要もありません。
菩提寺などがあって僧侶と長い付き合いができれば、葬儀の時にも迷う必要はなくなりますが、多様化した現代ではその代わり、何にもとらわれることはなく自由です。