自然葬とは?
寺院や霊園などの墓地や納骨堂に埋葬するのではなく、自然に回帰するというかたちで行われる葬送の仕方です。
現在の日本においては、法や公害的要素もあり自由にその辺の海や川や山といった自然環境に遺体や遺骨を埋葬するということは簡単ではありませんが、節度ある範囲で遺灰を葬送することは法的に問題ないようです。
葬儀や埋葬の方法には、宗教が深く関わっており、多くの人はこれまで自身の死後、或いはその遺族は火葬後、その遺骨は故人の信仰宗教に法り葬送、納骨するのが常識として行われてきました。厚い信仰者にとってこれは、これからも変わりないことではありますが、近頃では、死後に自然葬を希望する人や、無宗教を主張する人も増えてきており、従来の葬送方法に捉われないかたちでの自然葬を行う遺族も徐々に増えてきているようです。
この背景には、遺族の経済的な負担軽減という事情も理由のひとつとして挙げられるのではないでしょうか。高価な墓石を建て永続的に維持していく負担は、遺族にとっては計り知れない負担になるのは確かであり、故人を供養することが、必ずしも寺院やお墓に埋葬することが全てではないという最近の、常識や形に捉われない風潮もこれを後押ししているといえるでしょう。
自然葬の豆知識:埋葬の自由
良くも悪くも、世界、特に日本には古くから伝わる伝統やしきたりというものがあります。
人が亡くなった場合でのお通夜、葬儀、埋葬、その後の法要も古くから行われてきた伝統ではないでしょうか。ですが、日本で一般庶民が墓をもつとうになったのは江戸時代の中期頃からのようで、それまでは海や山に埋葬する、自然葬が主流だったのです。
ですが、古来行われていた自然葬も近年までの納骨による埋葬も、必ずしも本人の自由意志での葬送というわけではなく、人が亡くなれば「そうするものだ」という観念から行われてきたものだと考えられます。自由意志という意味では自然葬という葬送は、本人の希望で行われる埋葬の自由を尊重した葬送の方法といえるでしょう。
現在、この葬送の方法をめぐり〈葬送の自由をすすめる会〉という組織が全国的に活動を行っており、今まで知らなかった人も自然葬を知る機会が増え、終活と共に自らの死後、葬送を行う選択肢のひとつとして、これから自然葬を選ぶ人も拡がりを見せるのではないでしょうか。
そして、少子高齢化という問題もそれに拍車をかけることでしょう。土地には限りがあり、墓地や納骨する場所も無限ではないのですから。