エンバーミングとは？
遺体の保存技術で「エンバーミング」というものが、最近注目されています。死体防腐処理、遺体衛生保全と呼ばれることもあります。
遺体を長い間保管しなければならない場合などに、遺体の腐敗による損傷などから防ぐために施される技術です。
遺体を保存しておかなければならない日数は、少なくても亡くなってから、お通夜、告別式、火葬などを行うまでに２～3日はかかってしまいます。そして最近では都会部などの火葬場の事情等によっては、一週間程度待たされてしまうことも往々にしてあります。これまでにも、遺体を保存するためには、ドライアイスを使用した遺体の保存処置が施されてきました。また遺体を清潔に保つために湯灌・清拭の処置を行ったあと、メークアップなどを行い、ドライアイスや防腐剤を使用して保存されてきました。
しかしそれは単に火葬されるまでの応急処置に過ぎません。時季などによっては腐敗のスピードが早くて遺体の損傷が避けられない場合や、ドライアイスによって、遺体が変色してしまうことなどもあります。
長時間遺体を保存することによって、感染症が蔓延することも起こり得る問題でもありますし、また遺体の変化は遺族にとっては耐えられない苦痛ともなります。
そのために今最も注目を集めているのが、遺体を腐敗から守り、きれいなままの状態で保存できる技術のエバーミングなのです。
現在でも、土葬が主流の欧米諸国では、エバーミング技術はなくてはならないものとなって一般的に広まっています。
火葬が主流の日本ではまだまだ知られていない技術ですが、上記で説明した通り、都心部を中心として、遺体を長期に保存しなければならない事情も増えてきています。また感染症の予防や、遺族への配慮などからも、エバーミング技術は認められつつあるもののようです。
エバーミングの豆知識：エバーミング技術の手順
エンバーミングを行うには、その専門的なライセンス保持をしている技術者によって行われます。
まず、全身の洗浄と消毒を行い、髪や髭などを整えます。そして遺体の一部に穴をあけ、中に残っている食べ物などの残留物や血液などを、鋼管で吸引して取り除き、同時に防腐剤を注入します。その後遺体に開けた穴を縫合して塞ぎます。この時、他に遺体に損傷箇所がある場合は、一緒に修復を行います。最後の仕上げにまた全身の洗浄と洗髪を行い、化粧などをして表情を整えます。衣装を着せて、まるで生前のそのままの状態のように整えます。
