死亡診断書とは?
死亡診断書は、人が亡くなった際に医師・歯科医師のみが発行できる書類です。死亡が確定された際に手書きで書かれ、医学的・法的に故人の死亡を証明するほか、統計資料にも使われます。また死亡診断書がないと役所に死亡届が出せないばかりか、死亡届をもって発行される「火葬証明書」がないため火葬・埋葬ができず、これを無視すると法に触れる恐れがあります。
「死亡」という状態は、呼吸の停止・心拍の停止・瞳孔拡大という三つの兆候を確認して初めて判断できるもので、判断できた時刻が死亡診断書に記載する「死亡したとき」になります。
在宅医療などで医師の診察を待たずに死亡した場合は、変死が疑われるので警察に届けなければいけないと思われがちですが、これは少し違います。故人が最後に診察を受けてから24時間以内・死因が明らかに診療中の病気によるものであれば、再度医師が診察を行うことで、死亡診断書が発行できるケースもあるのです。
ただ死亡時の状況などによっては、自然死か変死かの判断がつかないことがあります。その際は死亡診断書が書けません。医師による「死体検案書」の記入と、場合によっては警察への通報・司法解剖などが必要になることがあります。
死亡診断書と死体検案書の書類は同じものです。状況によってどちらかを二重線で消し、必要事項を医師が記入します。死亡時刻・場所・死因、死亡したのが新生児であれば出生時の体重や母親の情報も記載します。死因の書き方としては、直接の死因と、その原因、さらに原因を引き起こした要因まで書く欄があり、できるだけ詳しく書かなければいけません。
死亡診断書も、一般の診断書と同じく発行の際に料金がかかります。金額は一部5千円程度から、病院によっては手数料などが加算されて数万円になるケースがあり、確認が必要です。また死亡診断書は、生命保険や公共料金などの手続きの際に必要になるので10部ほどコピーを取っておくと良いようです。
死亡診の断書豆知識:本当はよく知らない「老衰」
ニュースや新聞のお悔み欄でよく目にする死因、「老衰」。厚生労働省による統計では、人口総数での死因第5位、95歳以上の死因の第1位となっています(平成28年)。
ところでこの老衰、実際にはどういった状態なのでしょうか。一般的には加齢によって、臓器や身体機能の維持ができないほど細胞組織などが弱体化することを指します。老衰が死因になりうるのは、身体機能の低下によって多臓器不全を起こすからです。具体的な症状としては、体内の水分や毒素を処理できなくなるため、むくみや食欲不振などが起こります。また脳の機能も低下するので認知機能や意識レベルが落ち、眠る時間が長くなることもあります。活動量が低下し、体力や抵抗力もなくなっていきますが、そこで何らかの細菌などに感染して死亡すると老衰とは診断しません。あくまでも老化による全体的な機能停止に伴う自然死を「老衰」と言うようです。
ただし近年は医学が発達したことと、医療現場では「なるべく正確に原因を書く」ことが求められるためか、死亡診断書に老衰と書くことをよく思わない関係者もいるようです。現代では検査をすれば何らかの疾患が見つかったり、死因も特定できるようになってきたからです。
一般に老衰は眠るように亡くなると言われています。よく昔の人は「寿命が尽きる」「お迎えがきた」と言いましたが、時の経過で木の葉が落ちるように、細胞が自然に役目を終えるのをよく表している、そんな気がします。